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【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】

第10章 ◎すれ違い


「面会時間あるから、離して」
「沙耶!」
「堅治が部活優先する様に、私は怪我をしてる家族を優先したいの」

 私の言葉にピクっと堅治が反応した。
 口を開こうとして言葉が出なかった様子を見ると、私を優先していなかった事を自覚していたのだろう。

「堅治は堅治の優先したい事を優先してればいい」
「俺はっ……」
「だから、それだけを優先してれば良いと思う。それじゃあ」

 掴む堅治の手を払い除け、私は病院へと向かって行った。





「沙耶ちゃん、何か遭っただろう?」

 洗濯物を取りに来て会ったおじいちゃんが発した第一声はそれだった。
 ピタッと止まっておじいちゃんの事を見ると、ニコニコと笑顔のまま言う。

「沙耶ちゃんは昔から我慢する癖があるけど、我慢ばっかりは身体に良くないから」
「……おじいちゃん」

 もしかして、無意識に強ばった顔をしてしまっていたのかもしれない。
 入院しているおじいちゃんに無駄な心配をさせたくないので、笑顔を作って伝える。

「ありがとう、おじいちゃん。でも大丈夫だから」

 そう、もう堅治との事は終わりになる筈。だから大丈夫だし、平気になる。
 それから軽く家の事を伝えて雑談してから、病院を後にした。
 スマホを見るとお母さんから買い物して欲しいとLINEが入っているのを確認した。


 気が付いた時にはLINEの未読バッチの数が二百を超えていた。


 そのバッチの数を見ても、未読を既読にする気が起こらず、今日も変わらず無視をしてしまうのだった。





 翌日の放課後、化粧水が切れてしまったので買い物に学校帰り寄っていた。
 欲しかった物を無事に購入して帰ろうとした所、息を切らせた堅治と出会った。
 部活のランニングかと思ってそのままスルーすると、昨日と違い強い力で掴まれた。

「沙耶!」
「……堅治、痛いよ」
「お前が俺を避けるから!」

 その一言に心に溜まっている黒いモノが動いた気がした。
 避ける?何の話だろうか。
 私は堅治の事を避けたりなんかしていない。堅治に気を遣う事を止めて、自分の生活を優先させただけ。

「避けてなんかいない。自分のやりたい事をやってるだけ」
「でもLINEずっと未読のままじゃないか!俺にも会いに来ないし!」

 LINEの未読に関しては堅治の言葉は正しい。けれど……。
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