【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第10章 ◎すれ違い
不在着信欄に堅治の名前を見付け、眉間に皺を寄せてしまった。
堅治が私の事を後回し後回しにし続けた結果の今の感情では、連絡なんて来ても何も嬉しくない。
それ所か一覧を埋め尽くされてしまって、迷惑にすら感じてしまっている。
堅治の事など無視して、私はまずはお父さんからだ、と連絡を入れる事にした。
◆
堅治と一切関わらなくなってから、もう一週間も経った。
今までは話せなかったりしたのが寂しかったのに、こうも気持ちの切り替えが出来てしまうと、何であんな風に気持ちに振り回されていたのだろう、と思っている。
「おじいちゃんの洗濯物取りに行かなきゃ」
放課後になり、今日は学校帰りにおじいちゃんの洗濯物を取りに行かないとならない日なので、早めに帰ろうと支度を済ませた。
一週間と言う長い期間の間、堅治からの連絡は合っても直接来る事は無かったので、結局それだけの男だったのだと割り切りも始まっていた。
「紗良、最近二口君と話してなくない?」
友達にそう声を掛けられ、少し考えてから答えた。
「向こうは部活部活で忙しいし、私も今は入院してるおじいちゃんのサポートで手一杯だからね」
「おじいさん大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。骨折してないし、ただ年齢もあるから大事を見ての入院だから」
居ない理由に付いても誰もが納得出来る説明を出来るので、周りも深く追求してこない。
このまま自然消滅みたいに別れられるのがベストだなぁ、と考えながら下駄箱から靴を取り出して履き替えていると、久しぶり過ぎる声が背後から聞こえた。
「沙耶っ!」
「…………堅治?」
そこに居るのは堅治の姿。
何時もと同じジャージ姿で居る所を見ると部活前なのか、抜け出して来たのか、と言った所だった。
「何?私今から病院行かないといけないから、時間ないの」
淡々と答えると堅治に手を掴まれて言われた。
「お前何で返事返して来ないんだよっ!ずっと連絡してるだろっ !? 」
ギュッと握られた手を見ても、堅治の温もりを感じても何も思わなかった。
ここまで来てしまったならば、本当にもう駄目なんだろうな、と悲観しながら言う。
「今言ったよね、病院行かないとって。おじいちゃん入院してるから忙しいの」
「それでもっ!」
時計に目をやり、時間を確認して私は堅治に告げた。