【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第10章 ◎すれ違い
昨日までだったら嬉しかったかもしれない。
でも今はもう嬉しくない、煩わしくまで感じてしまう。
恋に冷める、とはこんな感情なのだろう。
スマホの画面を見てから、ため息を一つ付いてカバンの中に戻してしまった。
◆
「もー、おじいちゃん気を付けてよね」
「すまんすまん」
翌日、朝から来た電話で私は学校を休んで病院に来ていた。
電話の相手はおばあちゃん。おじいちゃんが踏み台から落ちて腰をやってしまった、と連絡が入った。
お父さんもお母さんも仕事が合ったので、私が学校を休んで付き添うから、と言って病院にいた。
(正直昨日の今日だったから、正当な理由で休めて良かった)
おじいちゃんの容態と堅治に会わなくて済む事実の両方に安堵してしまう。
「紗良ちゃんごめんねぇ……学校休ませちゃったわよね」
「おばあちゃん気にしなくて大丈夫だから」
私を休ませてしまった事を本当に申し訳なさそうに言うおばあちゃんに、本音は言えなかったけれど事実なので伝える。
「おじいちゃん一応二週間の入院になっちゃうみたいなのよぉ」
「骨折しなかっただけ本当に良かったよ。おばあちゃんじゃあ通うの大変でしょ?私がやるよ」
手続きをしているおばあちゃんに言うと、ピタッと手を止めて尋ねられてしまった。
「凄い助かるけど、それじゃあ紗良ちゃんの時間取っちゃわない?彼氏くんいるのに」
彼氏、と言う単語に胸がチリっとした。
あの後も変わらず堅治からの連絡は来ていた。でも私は一切応じず、LINEも未読件数が溜まっていく一方だった。
病院に着いた頃には通知すら煩わしくて、LINEをミュートにしてしまった。
なので、通知はバッチ件数でしか分からない。でも数字は増えている。
「大丈夫だよ、状況が状況なんだし。それを理解してくれない様だったら、付き合っていくの考えちゃうし」
冗談っぽく苦笑いしたけれど、それは勿論本音である。
家族の緊急時を理解してくれない人は彼氏云々関係なく、人として付き合いを考えてしまうから。
「おじいちゃんもおばあちゃんも気にしなくて良いからね。お父さん達には私から伝えておくよ」
ニコッと笑ってから病室を出て、通話可能の場所まで移動する。
おじいちゃんの状態を親に伝えなければいけないから。
「うわ……また来てた」