【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第10章 ◎すれ違い
きっかけはとても些細な事で、それは少しずつ積み上がっていった。
立場が変わる、と言う事がどれだけ大きな事であり、拘束される事案になるなんて、実際に身に降り注ぐまで気が付けなかった。
すれ違い
「すまん!今度の日曜日、バレー部の用事が入った!」
昼休み、教室にやってきた堅治の事を私は黙って見上げた。
これで予定が駄目になったのは九回目。慣れて来ている自分が情けなかった。
「大丈夫だよ、部活じゃあ仕方ないもんね」
ニコッと笑いながら伝えると、堅治の表情は安心しきったモノへと変わっていく。
そう、堅治はバレー部の主将になったのだから、忙しくても仕方ない。
それに、ウチの学校はそれなりに男バレは強い強豪校。
そんな強豪校の部員を引っ張っていかなければならない立場の堅治に、私は我儘なんて言えなかった。
「次はこうならない様にするし、埋め合わせ今度するから!」
「気にしなくて大丈夫だよ」
笑顔を崩さずに伝えていると、廊下から堅治を呼ぶ声が聞こえた。堅治の反応を見る限り部の後輩の様だった。
「悪ぃな。黄金川、お前はうるせぇ!」
バタバタと出て行く姿を手を振りながら見送り、姿が見えなくなったら机に伏せってしまった。
「…………私の強がり」
ボソリと呟いた声は、誰の耳にも届く事はないのだった。
◆
放課後、一人アテもなくブラブラと街中を歩いていた。
週末デートの約束も無くなってしまい、する事がなくて、虚無感を誤魔化す様に歩いていた。
運動部に入っている相手を彼氏にする段階で、ある程度覚悟は出来ているつもりだった。
ましては県内でも強豪校と呼ばれる部に入っている時点で、普通よりも部活優先になってしまう事は誰にでも分かる事だった。
普段軽い口調で先輩を弄ったり、後輩をからかったりしているが、堅治のバレーに対する真剣さを私はちゃんと知っている。
知っているからこそ、優先してもらえない事に対するモヤモヤを抱く自分の心にイライラしてしまう。
こうも予定が全て部活原因で無くなってしまうと、堅治にとって私の存在価値が無いのでは?と疑いたくなってしまう位に。
そんな事を考えているとスポーツショップが目に入り、ついつい立ち止まってしまう。