• テキストサイズ

【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】

第9章 ◎偽りの彼女お願いします


 そんな都合のいい人間が同級生に居ただろうかと、校内を徘徊する。
 無駄に指定してしまった過去の自分の適当さを恨むが後の祭りでしかない。

「この際、今日は病欠してる、とか……。いや、一度学校に来たら二度三度あるぞ……。理解ある誰かを見付けないと……」

 朔夜を納得させかつ理解してくれる空気の読める存在を。

「………………はぁ、頭が痛い」

 影山の趣味の悪さを恨む。
 何でよりにもよってあんなのを彼女にしているのだ、と。
 朔夜が影山の彼女じゃなければ、こんな風に悩む事もないのに、とイライラしているとふと、花壇に腰掛けながら座っている女生徒が目に入った。
 遠目から見ても分かる黒髪は緩くパーマが入っている。
 手元にぬいぐるみがあり、手が動いているのを見る限り手芸をしている様だった。

「…………あれって確か」

 隣のクラスの手芸部の子だった記憶がある。
 全く目立たず、名前も出てこない所を考えると大人しい性格に部類される筈だ。

「……時間が無い」

 選り好みしている暇はない。
 作業中に申し訳ないと思いながら、近寄り声を掛けた。

「ねぇ、ちょっとだけ協力してもらえない?」
「……えっ?」

 突然声を掛けられ、驚いた様子で顔を上げてきた。当然の反応だと思いながら、国見は要件を告げた。

「どうしても追い払いたい馬鹿が居るから、今日の放課後だけ偽彼女して欲しいんだ」
「………………はい !? 」

 裏返った返事を聞き、本当に申し訳ないと影山の様に朔夜の事を叩ければいいのに、と心の中で舌打ちしてしまった。





「……えっと…………その、『朔夜さん』の前で国見君の彼女です、って一緒に居れば良いって事、ですか?」

 一通り説明を済ませると理解力もあり、すんなりと状況を理解してくれたのだった。

「そう、特に話す必要はないから。君みたいに所構わず誰かれ喋り掛ける馬鹿じゃないって言ってあるから」
「……馬鹿」
「取り敢えず、今日だけ付き合ってもらえると助かるんだ」

 国見の本当に参っている姿を見て、断りずらくコクコクと頷いて了承した。
 その姿に少なからず国見の表情が明るくなった気がした。

「本当に助かるよ。えっと……」
「あ、成瀬。成瀬真衣です」
「成瀬さん、覚えた。それじゃあ放課後申し訳ないけど付き合ってもらいたい」
「が、頑張ります」
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp