【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第9章 ◎偽りの彼女お願いします
「…………国見、よく教えたな」
金田一がそっと聞くと、国見は顔を上げながら言う。
死んだ顔とはまさに国見の事を言う、と言う状況だ。
「……一日……チューチュートレインされてみろよ……」
「……変な動きしてるとは思ったけど、お前の連絡先聞き出す為だったのか」
朝から朔夜がしつこく国見の周りをうろ付き、円を描く様な動きをしていた事は皆知っている。
知っていると言うか視界に入っていた。
だがそれがまさか連絡先を聞き出しているとは、誰も思っていなかったのだ。
「スタンプ爆だぁ〜彼女聞き出すどー!」
「……あんな事、言ってるぞ?国見」
「……即ブロックしたい」
「ブロックしたら教室まで行くからなぁー」
「……しないから、止めろ」
この合宿だけで開放されると思い込んでいた国見にとって、この連絡先交換は地獄の始まりでしかなかった。
◆
(思ったよりもLINE送られてこないな)
昼休み、鳴らないスマホを眺めながら国見はそんな事を考えていた。
確かに連絡先を交換した直後は、勝手に作っていたバレー男子(一年)と言うグループに強制的に入らされた。
かと言って互いが互いに親しい仲ではないので、グループチャットは鳴る事がほぼ無かった。
そして、朔夜が連絡先を交換したのは国見だけではないので、予想外に嫌がらせLINEが来なかったのだ。
(来ないに越したことはない)
変に絡まれたくないし、と自販機に何か買いに行こうかと立ち上がるとピロン、とLINEの通知音が。
画面を見ると田中ゴンザレス、と言う表記名が出ていた。
(本当に田中ゴンザレス誰だよ……)
朔夜の登録名が意味が分から無さすぎて、つっこむ気力も起こらない。
無視するとスタンプ爆弾されるので、既読スルーしようと送られてきた内容を見て、顔が引き攣った。
『青葉城西行く用事出来たから、くにみんの彼女見に行く〜!』
マズイ事になった、と国見はスマホを握り締めながら思っていた。
◆
国見が面倒で朔夜送った彼女像は以下だ。
黒髪、小柄、清楚、大人しい、オタクじゃない、空気が読める、何処かの馬鹿とは真逆。
それ全てに当てはまる人物を、放課後までの限られた時間までに見つけなければならない。
そして仕方ないが事情を話して、偽彼女を演じてもらわなければならない。