【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第6章 ◎スポットライトの浴び方
何で声を掛けられたのか分からず、口をパクパクさせていると、相変わらずの落ち着いたトーンで言われた。
「欲しいならばまたやるぞ?どうせ海野に買ってくる予定があるし」
また、ついでか、と思いつつも今まで認知されなかった状態とは異なり、驚きが隠せない。
もしかして、ちょっとでもヒロインのスポットライトを浴びてしまうと、ヒロインにはなれなくてもモブではないサブに位にはなれるのだろうか?
「……そうだ」
何かを思い付いたらしい牛島先輩は涼しそうな表情で言ってきた。
「今度の休みは暇か?」
「ええっ !? 」
突然の誘い文句。
誘われる理由が分からず、驚きと困惑で顔を真っ赤にしていると、それに気付いてくれないのか牛島先輩は言う。
「女子の事は女子の方が分かる、と天童が言っていてな。海野は何時も飴で喜ぶがたまには違うのも良いのではないかと思った」
ああ、要は海野朔夜へのプレゼントの参考に付き合って欲しい、と言う話である。
恋愛感情を抱いていなく、尚且つ彼氏が居る相手だと言うのに、どうしてそこまで牛島先輩は海野朔夜を可愛がるのだろうか?
それがヒロインの力だと言ったらそれまでなんだけど。
「無理強いはしないが、どうだ?」
この誘いはきっと最初で最後のチャンス。逃したら次はない。
「いっ行きます!暇です!」
「そうか、良かった」
私の返事を聞き、牛島先輩は天童先輩を見て言う。
「天童、付き合ってくれるそうだ。三人だと視野も広がるだろう」
「いや、そこは実渕ちゃんと二人っきりで行くとか言ってよ、若利くーーん!」
「人数は多い方が効率が良いだろう?」
天童先輩のツッコミに、まだ二人っきりは無理だと私は高速で首を横に振った。
とんでもない形で、とんでもない理由だけれど、デートとは言い難い、でも初めてのバレーを通さない牛島先輩と関われる。
もしかして、海野朔夜はヒロインじゃなくて魔法使いだったのかもしれない。
彼女の性格からも、きっとヒロインよりも魔法使いを喜んでやりそうだ。