【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第6章 ◎スポットライトの浴び方
「実渕チャン心配してるから教えてあげるけど、朔夜チャン同じ学校にだーい好きな彼氏いるから、安心して大丈夫だよっ」
ぷぷっと笑う天童先輩の姿を見て、つい口が開いて閉まらなかった。
流石ヒロイン。ちゃんと相手がいた上で、ヒロイン補正で他の男子と当たり前の様に仲良くなれるのか。
「若利君も朔夜チャンに恋愛感情は一切ないし、ワンチャンあるかもねぇ〜」
楽しそうに言いながら、天童先輩も先を早足で進んで行ってしまった。
ヒロインの恐ろしさを改めて目の当たりにしながら、私も後を付いていった。
「海野さんの友達?」
「へぇ、若利が呼んだのか」
「本当に顔の広い子だな」
「どうせ無理矢理だろ、どうせ」
体育館に入ってすぐに色々な人達に声を掛けられ、固まってしまっていた。
夢見ていたスポットライトが当ったのだけれど、その状況に付いていけない。
何もしてなくても勝手に周りが集まってきて、話しかけられる。
認識されると言う事がこんなにも凄い事なんて、モブ故に考えも付かなかった。
(何時もこんな感じが平気って……ヒロイン鋼の心でも持ってるのっ?)
ちらっと見ると、ヒロインである彼女、海野朔夜は平気そうに色々な人に話し掛け、話し掛けられていた。
止まる事なく動き、世界の中心の様に動いている。
そして、それがさも当たり前であるかの様な表情でいて。
「嫌だっら早めに言った方が良いから。あの子の自己中半端ないから。平気で周りを巻き込むし、嫌がっても分かってくれないし」
私の隣に来て、眉間に皺を寄せながら白布先輩は言う。
「そもそも、馴れ馴れしいんだよ。牛島さんの事も、何が『うっしー』なんだよ……」
ブツブツと言う白布先輩に、海野朔夜はてててーっと近寄って来て言う。
どうやら話が聞こえていたらしい。
「うっしーはうっしー!白布ん先輩は今日も眉間の皺が絶好調ですなぁ」
「話し掛けてくるな、眼鏡娘」
「さとりーん!白布ん先輩が反抗期やー!」
睨まれても平気そうな顔で、天童先輩に助けを求める。
呼ばれた天童先輩は、白布先輩をからかい言うのだ。
「賢二郎はお堅いなぁ。朔夜チャンのおかげで色々情報貰えてるんだから、感謝しないと」
「それと、コイツのこの性格のウザさは別問題です」