【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第6章 ◎スポットライトの浴び方
これは私も名乗らなければいけない流れで、口を開こうとした瞬間、後ろから聞き覚えのある声に心臓が跳ねた。
「天童。海野と何をしている?」
「えー?若利君第一声がそれは酷くない?」
「うっしー!」
天童先輩の時よりも嬉しそうな様子で、駆け寄っていた。
そこに居るのは牛島先輩。天童先輩を探しに来たのか、それとも彼女を探しに来たのかは不明。
でも、突然こんな近くに牛島先輩がいて、緊張と混乱をしない訳がない。
一気に頭がぐるぐるとして、考えがまとまらなかった。
(うううう牛島先輩が目の前にっ!)
棒立ちしている私の事に気が付いてくれたみたいで、じっと見てから牛島先輩は言う。
「誰だ?天童の知り合いか?」
やっぱりモブは認識される事が無いのか、と肩を落としてしまうと、天童先輩は笑いながら指差し言う。
「朔夜チャンのお友達だって〜」
その一言だけで、牛島先輩の私を見る目が変わった気がした。
一瞬にして扱いが変わるかの様な目だ。
「友達がいたのか」
「そーでござるざる」
にっぱにぱと言うのだからか、それとも彼女の言葉だからなのか、牛島先輩は疑いもしていない様に言う。
「そうか、何時も海野が世話になっている」
「若利君ー!それじゃあ身内みたいだって」
からかいながらに言う天童先輩に、牛島先輩は至って真面目な顔で返す。
「身内みたいなモノだ」
「いや、他校のマネージャーみたいな子なだけだからね?それ以上でもそれ以下でもないからね?」
真顔でツッコミを入れる天童先輩を見つつ、牛島先輩は私に声を掛けてきた。
「今からバレー部に行くのだが、一緒に来るか?」
思いもしない誘いの言葉に、私は必死に首を縦に振って意思表示をした。
◆
「で?名前なんて言うの?」
体育館に向かっている途中、荷物を持って先を歩く牛島先輩と女の子の姿を見ていると尋ねられた。
「あ、……はい、私実渕澪と言います」
「実渕チャンねぇ〜、覚えた覚えた」
ケラケラと笑いながら言う天童先輩に、天童先輩と親しくなってしまった事にも緊張していた。
ただのモブが名前を覚えられるなんて、普通ならば有り得ないのだから。
「そうそう」
「?」
色々と着いていけずにいると、コソッと耳打ちされる様に天童先輩は教えてくれた。