【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第17章 バレーオタクの初入浴
「っつ !! 」
「……ぅ?」
影山から解放された朔夜がポーっとした表情で小首を傾げるのだから、チャンスを逃さない為にもすぐに続きを再開したい。
所なのだが……。
「…………てまり、どうした……」
ズキズキと痛む背中に手を回しながら、痛みの原因を作った相手に声を掛けた。
そこには「構って」と言わんばかりにベッドに飛び乗ったらしい朔夜の愛犬、てまりが立っていた。
部屋のドアを朔夜が閉めなかった事より、どうやら睡眠から起きて暇になったらしいてまりがやってきたのだ。
影山にとってはセックスに至るまでの前戯の戯れであったが、犬には飼い主達が楽しく遊んでいる様にしか見えないのだろう。
開いているドアの先の部屋の中で、飼い主とパートナーが何やらベッドの上でしている。
撫でてもらい、マッサージされるのが大好きなてまりが二人が一緒にいる所を見て、混ざらない訳がない。
尻尾がない犬種なので振るモノがないが、あればはち切れんばかりに振っているのだろう。
てまりの存在に気が付いた朔夜は嬉しそうに手を伸ばして言う。
「てまこも混ざりたいかー。おいでー」
飼い主から正式に許しが出て、てまりは影山と朔夜の間に割り込む様に入り込んできた。両方に愛でられたい様だった。
こうなるともう朔夜に触れる事は出来ない。
目の前で胸の谷間を出している朔夜がいると言うのに、触るのは朔夜ではなく、腹まで出して転がっているてまりである。
仕方ない、とわしゃわしゃと胸元を撫でてやると、嬉しいらしくてまりの足はピーンと伸びきっている。
本当は朔夜とこれから男女の絡みを……と追い出したい所なのだが、それは絶対にしてはならない。
したら、朔夜に嫌われるからだ。
朔夜のてまりの溺愛っぷりは最初から知っている。朔夜はてまりの事を「ウチの娘」と呼んでいる程だ。
それに動物に好かれない影山にとって、大好き大好きと寄ってくる動物はてまりしかしない。
犬の期待を裏切る事も、朔夜の信頼を裏切る事も出来ない。
「気持ちえぇか〜、てまこ気持ちえぇかぁ〜」
喜ぶ愛犬の姿に嬉しそうにしている朔夜の表情に、もう先程までの感じている様子は微塵もない。
また、折角のチャンスを犬の妨害で逃してしまったと、影山は溜息を漏らさずにいられないのだった。
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