【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第16章 ★篭った熱の吐き出し方
「ポルトガル語で会話されたぞ!頼む!せめて英語で話してくれ!」
キャッキャッしている朔夜の事を、影山は考え込む様子で見つめていた。
朔夜が初めて観客として試合に来る。
と、言う事は当日は同じ会場にいるのに、別行動となる。選手とスタッフではなく、恋人同士として居る、と言う事だ。
「影山、海野また変な事してるけど良いのか?」
「朔夜が変なのは出会った時からだからなので、問題ありません」
ポン、と肩を叩かれながら尋ねてくる星海にそう影山は真顔で答えていた。
本人も至って真面目に答えているらしく、星海は呆れながらに朔夜を見た。
星海からすると朔夜は後輩の恋人であり、ライバルである日向(人物2)の友人と言う立場だ。
仕事上では選手と通訳の関係性でもある。
朔夜は意外とオンとオフはちゃんと切り替えてくれるタイプだったので、仕事としても知人としても悪くない関係性を保てていた。
「お前ら本当に高校からどんな風に付き合ってたんだよ?」
「今と特に変わりませんよ?」
「……よくそれで続くな」
「まあ、はい」
淡々と星海に説明をしていると、笑顔の朔夜が駆け寄ってきて言うのだ。
「ロメロにねぇー、サインボール頂戴言ってきたー」
楽しみ、と言う朔夜の姿に牛島が真顔で割り込んできて言う。
「海野の方にボールを投げればいいのだな」
牛島としては自分のサインボールを朔夜に飛ばしたくて言っただけなのだが、それに周りが反応を示したのだ。
「次の試合は朔夜ちゃんにサインボール渡せた奴は晩飯タダ食いだ」
「寿司にするぞ、寿司」
「海野にボールを渡すのは俺の役目だが?」
勝手に盛り上がる様子を見ながら、朔夜は他人事の様に言うのだった。
「えー?私はロメロのボールがいいのにぃ」
◆
「ガッツリ怒られたな」
「まぁ……全員で意地を張ったのが悪かったんだけど」
試合には勝ったけれど、別の事で負けた。そんな試合だった。
原因は試合開始前のファンサービスでもあるサインボール投げ。ついつい全員で朔夜が座っている方に向かって投げてしまったのだ。
誰が朔夜にサインボールを送れるか、と言う意地。牛島に関しては割と本気で投げていたのが、また目立ってしまったのだ。
「Romero, obrigado pelo baile de
autógrafos」
