(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第14章 『Goddess』2
さっきまで確かに生きていたのに、目の前で一瞬にして亡くなってしまった……
安室さんが「救急車と警察を!」と周りに呼びかけながら男性に近づいた。私も慌てて駆け寄ろうとしていたけど、何故か彼女に腕を掴んで止められた
咄嗟に彼女を振り返ってみると、彼女の瞳が真っ直ぐ私を見据えて落ち着いた声が訴える
クリス「行ってはダメよ。危険だわ」
椎奈「でもっ、だけど手伝わないと!助かるかも……」
クリス「きっともう手遅れよ」
困惑しながら何か出来る事をしたいと考える私に、クリスの冷たい声ははっきり無駄だと言い捨てた。それで今更ながらに思い出す、彼女は裏社会の人間なのだと。興味がない人間の死など、瑣末なもので残酷な一面を持つのだと……
けれど何故だろう。それほど冷徹な彼女の翡翠の瞳は母親の様に温かく、この後、ルージュの口紅に彩られている唇が紡いだ言葉はひたすら優しかった
クリス「貴女が無理に行かなくたって、あの男ならサラッと解決するわ。だからこの場で待っていなさい、Goddess」
椎奈「え?」
「「……」」
私は何故か自分を女神と呼んだクリスに目を見開き、そばで会話を聞いていた降谷さん達の視線に気づかず呆然となっていた───
*
ホテルと警視庁はそこまで離れていない。通報してからものの数分で捜査一課が到着し、鑑識係が遺体と十分な距離を空けた位置……壁沿いに半円の形で規制線を張り巡らす。そんな警察の動向を私達や他の客が反対側の壁際で集まって見守り、私はクリスと安室さんと緋色さんから「顔色が悪い」、「お水をどうぞ」や「壁にもたれかかるといい」、なんて過保護じみた気遣いに甘えていた
すると現場にやって来た捜査一課のメンバーに度肝を抜かれる事になる。何とよりによって研二くんと陣平くんがいるし、佐藤さんの様な敏腕刑事なおらず、名前のない先輩刑事は少ない。後は目暮警部がいるだけだった
……これってアレですね。絶対他所でも事件があって分断させざるをえなかったパターンですね?!と言うか、降谷さんと諸伏さんてば超絶ピンチじゃん?!誤魔化しきれるのコレ?!
思わず心の中でそんな風に荒ぶっていると、横から顔を覗き込んだクリスも血相を変えた
クリス「ちょっ……貴女本当に大丈夫なの?!」