(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第38章 漆黒の葬列 後日談
コナン「……ああ。USBが見つかってたらもっと酷い仕打ちを、絶対殺されてたかもしれねぇ……」
灰原「それだけの賭けだった価値があるのを祈るわ……」
コナン「?」
灰原「偶々ピスコのパソコンにデータファイルが保存されていたけれど、流石にデータを丸々持ち歩くなんて思えない……。『手放す方が危険』と考えて持ってた可能性もあるけど、簡単に分からない暗号とかデータ破壊、ハッキングなんかのウイルスを仕掛けた偽物かもしれない……。だから適当な機械を用意しないと確認出来ないの、あんまり中身も期待し過ぎないでちょうだい」
コナン「あ、あぁ、分かった」
灰原「1週間以内には解析して見せるわ、それまで待って」
私が哀ちゃんに痛めた体でも食べやすいよう野菜と卵のサンドウィッチを作り、リビングのテーブルまで持って行くと起き上がった彼女から「ありがとう」と一言。次いで私と新一が桝山さんが用意したデータ回収の話に触れるが、まずもって犯罪の証拠をわざわざ長時間持ち歩く人間がいるだろうかと訝しんでいるらしい。まぁ心配しなくたって中身はピスコが握っていた分の有力なデータだけども、普通はシェリーも含む組織のメンバーの情報もそうだが、組織内でも隠蔽されてる情報なんて厳重に保管するものだと……。だから過度に期待しないよう忠告する哀ちゃんに対し、新一が「そんな可能性もあるのか」と言うように目を見開いて頷いた。最近の犯罪は個人情報の悪用による特殊なものが多いもんな……。
そんな科学者と高校生探偵二人の会話を聞きつつキッチンに戻った私は、ズボンのポケットでプライベート用のスマホが震える感触に気がついた。すぐに確認するとLIN◯のメッセージが来ていて、相手は母さん。既に日本の空港に到着していて、東都の警視庁まで直接出向くという知らせだ。実に淡々とした文章で綴られていて、普段の天真爛漫さの無さから原作通りのご都合主義なお気楽思考じゃないのが察せられて安堵する。この世界の母も何かと色々お茶目に振る舞うものの、工藤優作の妻なだけあって賢明な判断が出来る人なのだ。どうしても原作の修正力に引きずられる発言が多いけれど、重要な案件は私や父さんに相談するし、原作のような常識や想像力の欠けた言動はしない。
椎奈「……それじゃあご飯食べ終わったら、準備して警視庁に行きましょうか」
