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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編



【おーい、誰かいるのか?!いるなら早くここから逃げろ!!爆弾が仕掛けられてるってよぉ、警察が来て避難指示が出てるぞ〜!!】

ジン「?!……なんだと?」

ウォッカ「だ、誰だ?!もういねぇ……?!」



ドンドン、という音に揃って肩を震わせて驚くジンとウォッカだったが、突然誰かがドアまで近寄って来て爆弾があると言うのだから先程までのやり取りもあって大慌て。声の印象は中世的で、男とも女とも分かりづらい。ウォッカが直様ドアを開けて声の正体を確認しようとしたものの、既に誰もいなくなっていた。そりゃあ遠隔で状況を把握しながら喋っているもの、椎奈さんが。音声を発声させる装置はドア付近の見えにくい場所に設置されている筈。計画通りだ。

私はこれがチャンスなのだと全身の痛みに喘ぎながらも地べたを這いずり、二人が慌てる様子を尻目に避難しようと煙突を目指していた。ジン達は爆弾は勿論、警察の人数が増えた事に焦って周りが見えていないらしい。そうして何とか煙突に所に移動して酒蔵への穴に身を乗り出した時、パシュンッという空気を裂くような微かな音と、肩への激痛と吹き出した血糊。最後に撃たれてしまった。

そのまま私は煙突の穴へと落下して、下に敷かれたエアーを注入するトランポリンのクッションに着地。上ではこれを覗き込まれないよう、諸伏さんがジン達を監視してくれている。



「(まだよ私、安心するのは全部終わってから……!!お父さん、お母さん……お姉ちゃん……っ)」



着地の衝撃でフワフワとするクッションに包まれながら、無事に屋上のジン達から逃げ延びられた安堵で今は亡き顔も知らない両親を思う。言ってやった、ぶちまけてやった。ありったけの恨み辛みを奴らに打つけた今、私は清々しい達成感とバレずにやり過ごせた安堵に満たされている。

生前は組織の研究に関わる前まで、小さな診療所で夫婦一緒に患者と向き合っていた両親。父は穏やかで優しく思いやりに溢れた日本人で、母は無愛想に思われがちなほの他者との関わりが苦手なクールで愛情深い英系ハーフの人。姉や降谷さんから色々思い出話を聞かせてもらった、私が母似であるとも聞いている。そして私を見て両親を重なる者が、ここにも。

煙突の真下から這いずって出て来て、ハァッハァッと気怠い体で荒くなった呼吸を繰り返す私に近寄る男。偲ぶ会にいた男、桝山憲三。
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