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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第37章 漆黒の葬列 後編





それからはただ、一方的な暴力に翻弄されるがままだった。防護服を着ていても銃撃で感じる痛みに呻き声が漏れても、決して薬の秘密は明かさずホラを吹く。例えば『蛇になった』とか、『実は体がパイプより細い』とか。私の適当な出まかせにジンがイラつき、銃で全身を撃たれ続ける。まるで癇癪を起こした子供のよう……。久々に会えば自分の思い通りにならず、態度が変わってしまった私に戸惑っている。屈服させたくて、苦痛に喘がせたくて堪らないのでしょう?そりゃあそうよね、姉を人質に自分達に怯え続ける私を見て愉快な気分でいたのに、今では脱走を見逃して貴方達の組織での立場が無いし……。


そんな奴らの内情を想像しては気持ち悪かった、組織に密接だったせいでサイコパス心理を理解出来る自分にも虫唾が走った。だから貴方達が逮捕される日が、私とお姉ちゃんから家族が揃う些細な幸せを奪った恨みを晴らす日が待ち遠しい……。私は両親の肉声も温もりも覚えていない、だからお姉ちゃんが組織から隠し続けた母の私達への優しさが籠ったメッセージは宝物だった……。コイツらは両親が研究施設の爆発に巻き込まれた事件を、事故だって伝えて来たけれど絶対に真相は違う!!証拠は何一つ残っていないだろうけれど……。




ウォッカ「兄貴……この女、吐きませんぜ……」

ジン「仕方ない、送ってやるか……」




先に逝かせてやった、姉の元へ。そう言って嘲笑うジンはお姉ちゃんの死亡を微塵も疑っていない、降谷さん達に感謝しかないし、安心した。力なく雪で覆われた地面に血塗れで倒れ伏し、瀕死で精一杯の強がりに見える様にフッと口角を上げて笑った。




灰原「ハァ……ハァ……地獄へ堕ちろ、サイコパス野郎ッ!!」

ジン「あばよ、シェリー」




ジンの拳銃に掛けられた指が引き金を引こうしたその瞬間、私の背後……別ビルの屋上から二発の狙撃。一つは拳銃を持ったジンの腕を撃ち、もう一つはジン達を私から引き離す為に奴らの足元を狙っていた。ジン達は困惑しながら周辺を見渡し、「どこから撃ってやがる!!」と怪しい人影を探そうとするが、当然ながら現在は夜で姿が見えずらい真っ暗な建物を選んでいる。潜入中もスナイパーとしてネームドになった、諸伏刑事からの煙突への逃走の合図だ。合わせてジン達の背後の門扉が不意にドンドン、ドンドンと乱暴に叩く音がする。
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