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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第36章 漆黒の葬列 前編



機械を壊されて追跡が不可能になったオレはやむを得ず、進路を変えて追跡を断念することにした。まさか機械があるとバレるとは思ってなかったが、別件の収穫はあったので苛立ちはそこまで溜まって無い。そんなオレはこの時、博士や灰原への態度が単なる八つ当たりだという自覚が無かった。勿論、それを仕方ないと許してくれた二人の優しさにさえ、一先ずの安心に浸ってる今はまだ気づかない。



灰原「どうする気?状況はかなり悪いわよ……。もしあれが調べられたら……」

コナン「大丈夫だよ!今回はガムじゃなくて粘土を使った、指紋が出来ない様に布を使ってんだ……。それに車内の指紋も拭き取ってあるしな……」

灰原「だったらすぐに横道に入って彼らの車から離れるのね……。このまま漠然と彼らの道を辿るのは危険だわ……」

コナン「ああ。追跡はやめるが、逃げる気はねーよ……」

灰原「え?」



最近の科学の進歩は凄く、盗聴器や発信機の粘着力にガムを使っていては自分の痕跡を残してしまう。その為、ガムをやめて使っているのが柔らかい素材の粘土だ。だから彼女の心配は杞憂なのだと伝え、更には今更あんな話を聞いて引き返すのも却下する。殺人を阻止しなければ、このまま臆病に撤退するのも嫌だ。しかし「正義感が強いのね、私はごめんだわ」と皮肉と共に辞退する彼女は引き止めない。灰原は宮野志保として子供の頃の顔を知られ、オレ自身より立場にあるからだ。




コナン「まぁ、お前は博士と車の中で待ってろよ!最悪でも例の薬ぐれーは取って来てやっからよ!」

灰原「例の薬?」

コナン「恐らくアポトキシン4869……あの毒薬だ。ジンが電話でピスコって奴に言ってんだよ、『例の薬を使っても構わねぇ』ってな!」




そう言ったオレは自分が無意識に口角を上げている事に、こんな話をすれば彼女が動かざるをえないことに、一切気づくことが出来なかったんだ。

──────新一side END








──────灰原side

杯戸シティホテルのとある階にその会場はあった、『映画監督酒巻昭氏を偲ぶ会』。会場の大広場の扉の前に受付スペースがあって、その付近の曲がり角で潜伏中の私と工藤くん。



コナン「興味は無いんじゃなかったのか?」

灰原「仕方ないじゃない……。あの薬を作ったのはこの私、もう人殺し呼ばわりされたくないもの」
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