(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第35章 お怒り刑事と少年探偵団
そうして警察が情報規制をするのも、被害者側と加害者側を問わず当事者達や彼らの親族友人のプライバシーや尊厳を少しでも守る為である。加えて探偵の言動次第ではその点を悪く思われ、不満や嫌悪感を集めやすい職種なので、話を聞く度に探偵側には(大人な上に問題視される立場にいながら)配慮のない発言を注意するのも暗黙の了解となっている。
閑話休題(それはともかく)。
意気消沈の子供達を元気づけてあげるべく、パンパンと両手を打ち鳴らした萩原は明るい声で呼びかける。
萩原「……と、言うわけで!小学生のお仕事は学校に行って勉強したり、先生やお友達と仲良くする事なんだ。もうこれから絶対に無茶をしちゃいけない、この約束を守れる子〜?」
「「「はい!」」」
刑事達の話を聞いてすっかり反省した子供達は、これまでの反抗心を捨てて素直に手を上げて返事をするのだった。そんな彼らの様子を静観していた灰原や阿笠も再び顔を見合わせ、「分かってくれてよかったわい」「ホントね」と安堵しながら笑い合う。そして改めて松田と萩原と伊達に対し、
灰原「……あの子達のこと、説得してくれてありがとう」
阿笠「ワシからも本当に助かったぞい、今まであの子らが迷惑をかけてすみませんな」
伊達「いえいえ、今後気をつけて下されば!なぁ松田!」
松田「おう、これも刑事の務めってやつだ。つっても身の安全優先ってのは、昔椎奈から説教された受け売りだがな」
灰原「あら、そうだったの?」
刑事三人に感謝と詫びの言葉を申し訳なさげに口にする灰原と阿笠だったが、萩原同様朗らかに笑った伊達も、話を振られた松田も当然の役目を果たしただけだ。
灰原「(……確かに椎奈さん達から聞いてた通り、個性豊かで賑やかそうで、悪い人達じゃなさそうね。子供達を根気強く叱って説得してくれたし、多少は信用しても良いのかしら)」
灰原哀にとって最早、実姉の明美だけが安心出来る拠り所ではない。唯一の大事な家族を救ってくれた降谷や諸伏、一緒に生活してくれて平穏な生活の基盤になってくれる阿笠、工藤新一が幼児化した原因である自分を受け入れてくれる工藤一家。彼らは宮野志保の過酷な境遇を理解していて、罪を償おうとする彼女の誠意と謝罪と解毒薬の制作を赦し、後悔や恐怖に押し潰されそうな精神の支えになってくれている。
