(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第34章 浪花事変(事件はないよ!!)
そんでまぁ要するに、オレは自分がその事件を解決させれば工藤家や周りに迷惑かけた事を挽回するチャンスやと思っとった。そうすれば悪童のイメージが消えて気軽に工藤に会える、工藤家からも警察からも感謝されるし、工藤には『自分を超える存在』として認識されるかもしれへん。思わずそういう打算的な考えに至ったオレは、東都で事件に遭った時みたいに盲目やって工藤の姉ちゃんに言葉に度肝を抜かれた
──────功績と名誉を得るのに執着しすぎて、自分の命と周囲の安全性を無視した行動は慎むように。たとえ世間が貴方と新一を探偵として特別視したって、探偵に警察の様な捜査は出来ないでしょう?私も両親も新一と同い年の子を危険な目に遭わせたくないし、貴方のご両親や幼馴染に申し訳ない。貴方自身も大切に思ってくれる人を傷つけ、悲しませてはいけない。ましてこういう案件は探偵の領域外だし、私達家族は無闇に誰も巻き込みたくないの。『一生癒えない怪我や殺されても構わない』、なんて非情な人間になるのは御免です。──────
服部「……っ!!」
長文で綴られていた切実な思いに息を呑む。思わず画面から顔を上げて工藤の姉ちゃんを見返したオレは、真剣な眼差しと無表情で自分を真っ直ぐ見つめ返す彼女に呆然となった。不思議や。まるで頭を鈍器で殴られたような、心を深く突き刺されたような衝撃を受ける。何でか初対面やのに内心の葛藤・焦燥感を見透かされとる感じするし、執念深く干渉したがる相手にああも言葉を尽くし、理解を得ようと丁寧に説得されては反抗心も芽生えない……。
ましてや弟への敵意と探偵の矜持で首を突っ込もうとしたオレに、きちんと納得できる工藤家なりの正義感を喋ってくれたし、オレだけやなくてオレの両親や和葉の事も安じとるんや……。結局身を引かざるをえん状況になって、相手の事情や気持ちを汲んで身を引く事も必要なんを思い知った。それは多分、今までとこれからの事件や依頼もそうかもしれん……。
平次「……そんなに(危ない事件なん)か?」
椎奈「ええ」
もう一度、改まって緊張しながら確認の為に聞いたら当然の様に肯定されて、オレは隣の幼馴染の和葉を見ては両親や親しい人らを思い浮かべ、行方不明の工藤について何も知らなかった毛利親子に目を向ける。最早これ以上我を通すのも、詮索する気力も失せていた。
