(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第34章 浪花事変(事件はないよ!!)
椎奈「それから貴女も誰かに苛立ってたり、デリケートな内容を話すなら気兼ねない場所を選ぶのがベストだよ。公衆の面前や店内で騒ぐのは不良っぽく見えるし、自分の気持ちを暴露しているみたいで嫌でしょう?」
和葉「!!た、たしかに……気をつけます……」
椎奈「まぁでもこうして話して二人が仲良し度合いが分かって、ちょっと微笑ましかったけどね?だって遠山さんも服部くんもはっきり言わないだけで、お互い遠回しに大好きだって言ってるだけだしねぇ」
和葉「へっ?!」
平次「んなっ?!」
服部くんから続いて勧める私の言葉にハッとした彼女は、背筋を伸ばして大きく頷いた。そりゃあ本人も行動だけを振り返ったら不良にしか思えないだろうし、勘違いなら尚更恥ずかしかったよね。だけど同時に微笑ましく思ってもいたので、その事を少し揶揄るように言ってみると二人は顔を真っ赤に染めて大慌て。
必死に「そんなんちゃう!!」と否定されたのだけど、「そうなの?」ともう一度聞くとやっぱり素直で口を噤んだ。可愛らしい。そして彼らのピュアな反応を目にしたコナンもとい新一と小五郎さんはうんざり顔で睨め付けてるけど、一方の蘭ちゃんは大阪組を眩しそうに寂しげに見ていた。この世界の幼馴染カップル拗らせすぎじゃない?
椎奈「……ちゃーんと気持ちは言葉にしないと、相手に熱意と本気まではしっかり伝わらないよ?」
目の前に座ってる大阪組に、蘭ちゃんに、幼い新一に、小五郎さんにも目を向けて、密かに自分も心の内に影を落としながらそう告げた。
──────服部side
本来はただただ地元を紹介したくて観光案内をしていた筈が、昼間のほんの短い間に思いもよらないアクシデントと出会いで大きな転機が訪れた。
切っ掛けはアホくさい勘違いやけど、そこから有意義な会話に発展していた。初めは毛利親子とその預かり子・江戸川コナンと大阪観光しとったけども、近所に住んどる幼馴染の遠山和葉がいきなり加わり、更に毛利一家と親密な間柄やっていう日本を代表する芸能人・工藤椎奈とマネージャーまでもが鉢合わせ。しかも工藤椎奈は『東の高校生探偵』工藤新一の実姉で、本人も幾つかミステリー番組で難事件を見破り、そこでのコメントや感情を揺さぶる歌詞と演技力は社会現象を生んだ。