(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第34章 浪花事変(事件はないよ!!)
平次「?!工藤……アイツ……」
メモ帳を覗き込んだ服部くんは会いたがっていた相手が尋常じゃない状況なのを知って愕然とし、スマホを凝視し続けて更に眉間に皺を寄せて黙り込んでしまった。しかし黙考していた様子の彼は徐に自分もスマホを出すと、スパパッと画面を操作しては同じく私の前に置いて見せて来た。
──────せやったら姉ちゃん、俺に任してくれへんか?もう工藤が出てこんなって何か月も経っとるやろ、工藤優作も警察も捜査が上手く行ってへんのんとちゃう?俺かて同列扱いされんのは癪やけど、工藤と同じ高校生探偵で優秀や言われとる。剣道も有段やから護身術もバッチリや──────
その文面を私に見せた服部くんは闘志に燃えた目をギラつかせ、探偵としての正義感もあるだろうけど、それ以上に並々ならぬ意地と執念を感じた。それはまるでコナンになる前の、それより昔の中学生時代の新一のような。ずっと血生臭い事件を求めて華々しい活躍を夢見たあの頃の、我が身も自らを心配する周囲も顧みず、鬱陶しいと邪魔にさえ感じていたあの子。当事者達の感情と倫理観よりも、推理する時の快感に浸っていたあの時の、服部くんはまさに当時の新一だ。
確か服部平次というキャラは非常に勝負をしたがる負けず嫌い、血の気が多くて態度や言葉が悪くなる時もあるけど、自分の悪さを認めて変われる素直で優しい熱血キャラでもある。ただし事件では手柄と勝ち負けに拘り、犯罪を勝負のネタにしてしまう物騒な子だ。
椎奈「……そっか、ありがとう。だけど、気持ちだけ受け取るね」
平次「せやかて、」
やんわり断っても何か言い募ろうとする弟と同い年の少年の発言を片手を上げて遮り、再びスマホに文章を打って差し出した。
──────功績と名誉を得るのに執着しすぎて、自分の命と周囲の安全性を無視した行動は慎むように。たとえ世間が貴方と新一を探偵として特別視したって、探偵に警察の様な捜査は出来ないでしょう?私も両親も新一と同い年の子を危険な目に遭わせたくないし、貴方のご両親や幼馴染に申し訳ない。貴方自身も大切に思ってくれる人を傷つけ、悲しませてはいけない。ましてこういう案件は探偵の領域外だし、私達家族は無闇に誰も巻き込みたくないの。『一生癒えない怪我や殺されても構わない』、なんて非情な人間になるのは御免です。──────
