(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第32章 黒の組織から来た女1
何せ被害者である新一がどう思うかが重要だ、一度会った時の様子を考えると気持ちは想像に難くない。初めて心身を傷つけられた立場になって、感情の整理が簡単につけれる筈がない。母さんはそこを憂いていた、顔を合わせた時に酷い事にならないかと
有希子【……一応、何かトラブルがあったら連絡してね?】
椎奈「うん、分かってる。だけどあの子なら大丈夫よ」
優作【そうだぞ有希子。これもある意味事件と向き合う勉強だ、きっと私達の意見を冷静に考えてくれる】
有希子【……!!そうね】
母さんは最後に見守る決心をつけてくれて、両親との電話は些か不安があったものの特に反対はされずに終了した。両親は私の相手の隠した嘘や悪意を見抜ける才能を、万全じゃないからこそ相談するのを含めて信じてくれている。だから哀ちゃんの話を信じて語った私に、嘘や騙されていると言って疑うこともなかった。ましてや哀ちゃんの状況は命懸け、信頼するには十分すぎて彼女は無事に周囲に受け入れられた。先に外堀を埋めてしまって新一には申し訳ないが、あの子、いま……連休中で他県らしいのよね──────
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新一が他県から帰った日には、全ての準備が終わっていた。阿笠邸には哀ちゃんの部屋を作ったり、博士と生活に必要な物を色々買い揃え、学校への手続きやら家全体とパソコンのセキュリティ強化などを行った。セキュリティ強化は公安が哀ちゃんにプログラムを仕込んだUSBを渡していて、それを博士自身が作った防犯システムに取り込んで、哀ちゃんや博士が確認出来るように専用端末も持っている。そこから哀ちゃんが身辺の異常を公安に知らせる、といった連絡網になっている。
もちろん原作は執筆当時の科学がそこまで発展していなかった為、これほどまでの入念な防犯は出来ていなかった。しかも発信機と自分で危険を伝える通報装置は、私と同じく姉妹揃ってネックレスで作って渡している。そして盗聴機のカモフラージュには部屋に飾れる熊のキャラぬいもあり、それらが私の物より遥かに性能が高く、一体誰が作ったのかが疑問だった。
何せ私にすればこんなに便利な小型の多機能メカは、一応原作世界じゃ阿笠博士以外に作れる人は心当たりがないわけで。勿論、業界を探せば色んな分野の天才が大勢いるだろうし、私が知らない発明家さんの協力者だって当然いるだろうが。
