(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第32章 黒の組織から来た女1
不意に話していく中で垣間見えた米花町の治安の悪さと、毎日必ず何処かで事件に遭遇している新一の異常すぎる運の無さ。最早「気のせい」などとは言えまい。何故なら最近は悉く事件が減っているのに、(事故が無いとは言っていない)あの子はピンポイントで必ず現場に遭遇するのだ。だから呆れられても新一の意思じゃないんです、犯人が全部悪いんですと言うしかない。哀ちゃんお願い、新一を悪意あるトラブルメーカーとまで誤解しないで?!
風見「それともう一つ。近日あまりに不審なのでニュースになると思うのですが、これを見て下さい」
遠い目をする二人に何も言えずに心の中で嘆いていたが、すぐに話を切り替えて数枚の写真を私と哀ちゃんに差し出した。写真はどれも消火に数時間を要するような燃え方で炎上している、大手の製薬会社や何処かの建物が映ったものばかり。哀ちゃんは写真を一枚一枚じっくり見つめていたけど、やがて眉間の皺を深く寄せて忌々しげな表情へ。そして一言「やっぱりね」と呟いた声は苛立ちを露わに、大きな溜め息を吐き出しながら両手が離した写真は無造作に机上で散らばった
椎奈「……これって一体?」
灰原「私が関わった製薬会社と組織の施設だったわ、恐らく私が脱走したから組織の事がバレる前に証拠を潰したのね」
椎奈「!!」
風見「えぇ……悔しいですが先を越されました。ですがAPTX4869のデータは消えたものの、此方は志保さんが隠し持っていた実物がある。まさか組織がその晩すぐに彼女の脱走に気づき、データを奪う前にたった一晩で手を打たれるは想定外でしたが……。こうなると薬の成分から解析していき、解毒薬を作っていくしかありません」
灰原「そうみたいね……ああ、でも待って!」
確かに哀ちゃんが組織の研究で関わっていた会社や施設が名前不明で存在し、新一に正体を明かした日から数日前に放火事件で消え去ったのは原作展開にあった。けれど組織は公安が動き出すより遥かに素早く、奴らの陰謀を公安が阻止する事は残念ながら叶わなかったが、薬自体があるのでそこからデータは取れるのだ。なので初歩について安心なのかと私や風見さんが思っていると、哀ちゃんが急にハッと何かを思い出す
灰原「紛失しちゃったディスクがあるのよ。数年前にお姉ちゃんからディスクを送られ、送り返した時以来のね……」
