(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第32章 黒の組織から来た女1
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組織の科学者だった宮野志保さんが遂に幼児化し、無事に保護されたのは事件があった日からそう経っていない深夜のこと。薬を飲んで小学生に幼児化してしまって何とか研究施設を脱出し、公園にある公衆電話で助けを求めて漸く組織を解放されたのだ。彼女は幼児化の証明の為に明美さんと面談し、本人達しか知らない話やDNAの本人確認で無事に子供が宮野志保本人である証明が叶った。
更には一応原作軸との誤差を考え、APTX4869の解毒剤製作について事前に話した方がいいと訴えたので確認して貰うと、何錠か持ち去った分があれどもやはりすぐには作れないとのこと。曰く、「本来は医療目的で作られた未完成品だから解毒剤は存在しない」らしく、「解毒剤にも全く副作用が無いとは言えない」らしいのだ。概ね原作で言っていた通りの状態だった。
彼女は今後、名前を灰原哀と名乗って帝丹小学校に通う子供になって暮らしてもらう。生活場所はやっぱり自宅にラボを持っている阿笠邸で、昔から博士と仲が良くて新一の実姉である私も口添えする方が住みやすいだろうと全面的に協力する事が決まった。そこで私の家には後日、哀ちゃんと風見さんが訪問してきて初めて対面したのだけど、普通に愛想良く歓迎するだけでも哀ちゃんにかなり驚かれた。
椎奈「お二人ともいらっしゃいませ〜、飲み物はコーヒーか紅茶どっちがいいですか?」
風見「あ、私はコーヒーブラックでお願いします」
灰原「えっと……その、私も同じで」
マンション前まで来ていた二人の到着の報せがあって、パスワードロックを解除したら中に通して玄関で漸く生の灰原哀ちゃんと対面果たした私。やっぱり実際に会ってみると可愛い少女なものだから、なるべく普段通りを心掛けて『愛想がいい』程度に振る舞った。だって同性とはいえデレデレし過ぎは気持ち悪い……、まして彼方にとって私はファンだった芸能人だもの。
けれど何故なんだろう、私が二人分のコーヒーを入れてリビングテーブルに着くと向かい側正面に座ってる彼女が余計に縮こまっている。怯えて強張った顔で警戒しながら体を一層小さくさせる彼女に、敢えて心配だったが触れずに喋りやすい態度のままで接する事にした。「お待たせでーす」と一声かけて私が着席すると、風見さんをクッションにして話し合いが始まった。
