(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第32章 黒の組織から来た女1
事前にお姉ちゃんの危機は教えて貰っていて、今回の目論見も降谷さんから筒抜けだったおかげで、計画を練るとこまでは出来ていた。だけど私は連絡手段も人に会うことも出来ずにこの状態、まさかここまで厳重に監禁されると思ってなくて、本当にお姉ちゃんが無事かどうかは連絡を取れず分らない。
それに時間が見れない真っ暗な部屋は、感覚が可笑しく思えて気が滅入るのだ。ジンは私が反抗している限り監禁し続けるだろう、ぶっちゃけアイツの異常な思考を甘く見ていた。きっと今頃降谷さん達が私を助けてくれようとしてるんだろうけど、正直今まで関わって来た組織の卑劣さ、この部屋の様にどす黒く染まった私の研究、その過ちの果てに出来てしまった毒薬が。こうしてずっと孤独で静かな暗闇にいると鮮明に思い起こされ、絶望と罪悪感で精神的に参ってしまっていた……。
「ごめんなさい、私はもう……罪を背負ってしまった……」
幸い科学者や医療関係者が羽織る定番の白いコートを着たまま閉じ込められ、携帯を取られる時には内心冷や冷やしたけど、こっそり服の中に隠し持ってた薬品ケース。中には私が両親に継いで研究していたカプセル状の薬品、APTX4869を何錠が持って来てあった。私はそれが地獄から救い出してくれる気がしながら、一切の躊躇いもなくゴクリと飲み込んで。すると効くまでに数秒間の時間が空いて、体が徐々に熱を帯びていくと、
「はぁ……、はぁ……、ふぐっ!あ゛あっ?!あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ!!!」
まるで全身の骨や皮膚や内臓までもを歪められ、軋むような、溶けるような激痛に襲われた私は絶叫をあげる。痛い、いたい、イタイ!!いっそ死んだ方が楽だと思ってしまう。その場をのたうち回って、もがいて、そのまま手錠から私の手が滑り落ちて。
そうして気づけば幼児化していた私は、ぐったり力が入らぬ体で一生懸命に床を這ってゴミ捨て場直通の廃棄口から滑り落ちて外に出る。まさか自分が死に損なって幼児化するとは思わなかったが、何だかんだと脱出できて一先ずお姉ちゃんの無事を確かめたい。この事を報告しないといけないと、夜で不安を煽るような真っ暗な道を只管走った。
そして殺される恐怖に怯えながら遠くに逃げきり、公園に着いた私はそこの公衆電話から公安の諸伏刑事の緊急先に電話した
シェリー(宮野志保)side END───────
