(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第29章 災難は凡ゆる形で襲い来る
───新一side
かれこれ俺が幼児化してから江戸川コナンと名乗っており、毛利家に居候を始めて早くも数週間が経過した
未だに俺自身が昔から子供っぽさが無かった分、ただの可愛い小学生を演じ慣れるなんて無理で非常に窮屈だ。何せ見た目も中身も工藤新一と瓜二つだと一応公言してはいるが、当然ちゃんと別人と思える確かな違いが必要で……。たとえば相手への呼び方や口調、一人称は俺からボクに変えて、眼鏡はもちろん手放さなかった。だから蘭はそれ以外が幼馴染にそっくりなコナンに興味が尽きず、おっちゃんも「生意気坊主にそっくりすぎだ」と驚いている。正直、普段の生活でさえ気を張り詰めて暮らしているので、正体がバレないか毎日冷や冷やするのだ
それに居候を始めて通い始めた帝丹小学校では、小さな友人達である吉田歩美ちゃんと小嶋元太、円谷光彦の三人が作った少年探偵団に入団させられた。主に活動内容は生徒達の紛失物を見つけてあげたり、喧嘩になりそうなトラブルを解決するといった何気ない相談だ。おかげで彼らと一緒に過ごせば振り回されるし、放っておけずに騒がしい毎日を過ごしている。今や自分にとってつまらない小学校生活を彩り、退屈でしんどかった気分を塗り替えてくれた有難い存在だ
けれど、決して良い事ばかり起こったわけではない。何故か最近は減少傾向にある筈の刑事事件に遭遇する事が多く、おっちゃんにやって来る家庭的な依頼も普通の問題ではすまないケースが殆どなのだ。おかげですっかり江戸川コナンも捜査一課のメンバー達とは顔馴染みになって、仮にも元警察官のおっちゃん入れ知恵出来る天才児としてそれなりに認められるようになった
しかし小学生が現場と遺体に平然とし、恐怖するどころか推理に集中する姿は異様なわけで……。当然、優秀な刑事達が多い捜査一課は事件現場や聴取に潜り込む俺をきちんと阻止し、どれだけ精神に悪影響かを毎度丁寧に注意される。その言い方も子供に言い聞かせるようなもので、強く言い切れずに困り果てた表情は俺の罪悪感を抉っていく。特に姉さんの年上の友人である伊達刑事と松田刑事は、俺を監視しているが如く現場に近づく俺の行動を阻止していた