(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第29章 災難は凡ゆる形で襲い来る
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その日の私はファッション雑誌の撮影があって、マネージャーのグリリバちゃんこと緑川光さん、もとい景光くんの愛車で移動中だった。電話がかかって来たので相手を確認すると、連絡主が蘭ちゃんだったので緊急の何かがあったのだろうと思った。因みに定期連絡の電話は夜で、その日の事をきちんと細かく教えてくれる。それを此方がメモに取ったり、盗聴器経由で風見さんか景光くんが把握出来る仕組みなのだ
なのですぐに緊急事案かと悟り、組織に関する情報も無いので一般人の犯行による被害なのだろう。私は前を向いて運転中の景光くんに「蘭ちゃんから」だと伝え、スマホが無難な着信音でプルプル鳴っている所を応答した
椎奈「はーい、もしもし!」
蘭《あっ!もしもしお姉ちゃん?!ちょっと新一の事で聞きたい事があるんだけど、仕事の時間は大丈夫かな?》
椎奈「え?ええ、今は移動中だから大丈夫よ。どうかした?」
蘭《よかった!お姉ちゃんは赤木量子さんって知ってる?実は新一の彼女だって言ってて、新一探しを依頼されたんだけど……》
椎奈「……は?彼女?」
一瞬、何を聞かれたか分からず問い返したけど、ふと思い出したのは偽名を赤木量子と名乗る彼女疑惑の女子校生がいた事件。確かプロのサッカー選手である赤木の妹さんとして現れたけど、結局名前も付き合った話も嘘で、探してた理由が脅迫事件を解決してもらう為っていうオチだった筈だ
けれど原作軸の蘭ちゃんはと言えば、彼女の話を信じきって行方不明の新一に対して相当怒っていた。もちろん量子さんにも嫉妬心を剥き出すぐらい苛立っていたけど、新一本人は量子さんとは面識がなかった。つまり量子さんはその場凌ぎの杜撰な嘘をつき、蘭ちゃんはあくまで新一と幼馴染だが恋人に浮気されたが如く暴走し、新一はただただ巻き添えにされただけの不憫な話……。ぶっちゃけ色々ツッコミ所しかない事件なのである
しかしこの世界の蘭ちゃんは少し冷静なようで、声を聞くに嫉妬で怒っているのは確かだけれど、それ以上に混乱や不安が大きいようだ。なので蘭ちゃんの落ち着いた態度に安心しつつ、思わず苦笑い気味になってしまう
椎奈「んーと、ごめん蘭ちゃん……。その赤木さんって子の事も、新一から彼女いるって話も私は聞いた覚えがないわ」