(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第28章 満を辞して、毛利家へ
───NO side
とある別の日、毛利探偵事務所に二人の客人が招かれた。外は雨こそ降っていないが、空が鉛色のように霞んだ曇りで天気が悪く、数日前から幼馴染に会えないままの蘭は気分が憂鬱だ。それと言うのも、来客の一人が毛利親子の顔馴染みで世間を賑わす芸能人・工藤椎奈で、同級生の弟・新一について電話して以来突然の来訪だ
そして急に時間を作って会いに来た椎奈が連れて来たのは、フォックス眼鏡をかけるぽっちゃり体型の裕福そうな謎の女性。女性は江戸川文代と名乗って父親・毛利小五郎に挨拶に訪れ、蘭がお茶を用意すると探偵事務所のテーブルを挟んだソファに2対2で並んだ状態で腰掛けた
椎奈「……小五郎さんと蘭ちゃん、まずは突然時間を作ってもらう事になってごめんなさい。なんせ急に舞い込んだ話で、此方も困ってしまって余裕が無かったんです」
小五郎「あーいや、別に俺らはそこまで忙しくねぇし構わねぇんだが……。そんなに大変な要件なのか?」
椎奈「はい。実は私の隣にいる人……江戸川文代さんが、工藤家と博士のお家の遠いご親戚の方なんです。母子家庭で小学生の息子を育ててらっしゃるの」
文代「改めまして、椎奈ちゃんの親戚の江戸川文代と申します。こう見えて仕事はグローバル企業に勤めてますの」
小五郎「は、はぁ……どうも。父親の毛利小五郎と、娘の蘭です」
蘭「は、初めまして……」
席に着いて最初は椎奈が詫びを告げ、大して気にしていない様子の小五郎に尋ねられると深刻そうな面持ちで隣の女性を見遣った。そうして再び親戚として紹介された江戸川文代が頭を下げると、小五郎と蘭も「何故親戚がここに?」と訝しみながらも名乗って頭を下げ合った
文代「こうして椎奈ちゃんと伺ったのは、私が仕事で海外転勤になって育児と両立しきれくなったからですの。生憎、近しい親戚筋に息子を預けれる相手がおらず、阿笠さんは独身で自分の生活に手一杯でしょう?工藤さん家もご両親は海外ですし、椎奈ちゃんもお仕事が多忙で新一くんは探偵業で休学するってお話ですし……」
小五郎「はぁあ?!」
蘭「きゅ、休学?!!それってどういう事ですか?!」
小五郎「ちょっ……おい待て蘭、その話は一旦後だ!本題はそっちじゃねぇ!」