(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第26章 小さくなった名探偵
その時に一瞬だけ感じる体の内の浮遊感、後は勢いのままで増した速度と、回転やカーブで体にかかった遠心力。私はギュッと両目を瞑って周りと一緒に悲鳴上げ、新一は声も出ないほど口と目を開けたままで硬直していた
そしてコースターは乗り物と同じく、皺がれた恐ろしい顔で大口を開けるトンネルの中に突入した時だ。突如、背後から「うげっ!!」と男性の呻き声が聞こえて、温かい水らしきものがビチャビチャ私や新一に降りかかる。トンネル内は暗くて何も見えず、私や新一や他の人達も騒然となった
だからトンネルを抜けて、気になったから振り返った私はそれを後悔する。新一の後ろに乗っていた男性の首から上が切断されて、その血が辺り一面に飛び散っていたから……。その男性の恋人は変わり果てた彼に恐怖の悲鳴をあげ、私達は絶句したままコースターが発着地点に帰っていく。するとその場のスタッフ達やお客さん達ももちろん、首無し死体で阿鼻叫喚の状態になって慌てた指示が飛び交う
「じ、事故だ!!」
「救急車を呼べ!!」
「警察にも連絡しろ!!」
そうやって大騒ぎになっている中、男性の遺体がスタッフさんに乗り物の外へ出され、その男性の恋人が泣き崩れたり友人達が顔を青ざめさせる。一方、怖くて新一の背中にしがみついてる私を気にもとめず、ジッと遺体を見つめて考え込んでる新一。最後尾だった全身黒服の銀髪と小太りな男達もまるで慣れてる様子で、気味悪がってその場を去ろうとしたのを新一の叫びが止めた
銀髪「ふん……運の悪い奴め……」
新一「まて!!これは事故じゃない!殺人だ!!そして犯人は被害者と一緒にコースターに乗った……この七人の中にいる!!」
蘭「し、新一……」
小太り「ケッ、付き合ってらんねーぜ……」
こんな酷い死体を前に平然とする新一が、ハッキリ断言しては探偵らしく振る舞う姿が、私は色んな意味で怖くて圧倒されていた。私はこうして事件現場に遭遇し、当事者になってようやく姉さんが言っていた言葉の意味を知る。確かに新一の慣れ具合は異様だから……。後ろでは小太りの黒服さんはアホらしいと言いたげで、以前周囲を睨み続ける新一は気にしない
すると「どけどけ!!」と周囲に集まる人間を粗く退かし、父さんの警察時代の上司でもある捜査一課の目暮警部が到着した