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(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第25章 いよいよ原作へ



そして恨みがましくジト目で睨み上げたところで、零くんは「はははっ」と余裕の笑みで楽しそう。とっても悔しいうえに酷く恥ずかしい……。それにさっきのやり取りで私は、彼が演技ではなく途中まで本気に見えていた。だから女優としては見破りきれずに面目が立たず、恋愛感情で物を言うなら歓喜の後の落胆はあって、分かっていたのに残念なような、何もなくて酷く安心したような……


とにかく、私達もいい加減出て行かないと、駐車場で私を待っている景光くんが待ちぼうけだ。私がそう思い至った時に漸く零くんが離れてくれて、すぐに椅子から立ち上がると背もたれに掛けた上着や体との間に置いたショルダーバックを待つ。無意識に早く出たいあまり慌てて用意をすませ、足速にドアへ歩きながら呆れて文句も言い加える




椎奈「まったく、ああいう冗談は仕事でハニトラ相手にするように。女優の目から見ても、零くんの演技はバッチリだった……。ただし九つ下の女性に試すのはアウトだよ、本命の相手には真面目じゃないと伝わらない」


降谷「えっ……?ああ、そうだよな。さっきは揶揄い過ぎた俺が悪かった。だから機嫌を直してくれないか?」





苛立つままに無愛想になっていく私に対し、怒りを収めて宥めようと一等優しい声で喋る零くんは私に甘やかだった。しかもすれ違いざまに腕をそっと掴まれてしまっていて、解けるけれど解かずその場で立ち止まった私は、小さく落ち着くための息を吐く


ああ、零くんは分かっていない……。怒っているのは私の身勝手な恋心、ちょっとでも期待していた苛立ち……。貴方は何も悪くないんだよ


そして仕方ないって表情で振り返ってみれば、真後ろに立っている男が眦を下げて切なげな微笑を浮かべていた。意外にも私の言葉が効いて、落ち込んだり困ってる様子だった。そして私と向かい合った零くんがホッと安堵したような顔をして、反対の掌で私の頭へ触れるとそのまま降りて指に顎を上向きにされる。所謂顎クイと言うやつだ




降谷「……安室透は物腰柔らかで女性受けがいいし、バーボンは狡猾で秘密主義な悪どい男だ。だけど今の俺は、降谷零は日本を愛する警察官として命懸けの職務を果たす……。その一貫でハニトラなんてザラにあるが、あれを同じに思われるのは心外だ」




───暇さえあれば本気で、真面目に落としに掛かるから覚悟しろ───
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