(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第22章 NY事件
蘭「(そうなんだ……さっきの言葉を、姉さんが……)」
それはかつて、今より幼い椎奈から言われた言葉と全く同じで、面影さえも過ぎった私は愕然となって声すら出なかった。それほどこの姉弟が持ってる価値観、行動力は私の胸を奥深くまで貫いてるのよ……。工藤新一に肩を抱きしめられる毛利蘭もそう、犯罪者でも救い出すのを躊躇わない。二人は互いに寄り添い合って立ち上がり、工藤新一が私を警戒し続けている中、毛利蘭は毅然と言い放つ幼馴染の顔を見上げて聞き入っている
すると大雨の中をこうして長時間いるので、不意に気絶してしまった彼女は工藤新一が焦りながらも優しく横抱きにして持ち上げた。そして通り魔である私がこれ以上襲わないのを察すると、彼は毛利蘭と共に背中を向けてこの場を去っていく
新一「また会う事があったら容赦しねぇ……。あんたが積み上げた罪状と証拠を閻魔に並び立てて、必ず監獄にぶち込んでやっからそう思え!」
最後にそんな宣戦布告の言葉を残し、廃ビルを去っていく二人の背中を私は黙って見つめ続けていた。だってあの子達と椎奈は、私が漸く出会えた大事な希望の光なの……。誰にも穢せやしない眩しい正義感……純粋無垢でまっすぐな信念……。きっと工藤椎奈が私に微笑んだ女神のHOPEならば、毛利蘭は遣いのエンジェルなんでしょうね。そして工藤新一……彼は漸く、私が長らく待ち望んだ現れた銀の弾丸(シルバーブレット)なのかもしれない……
───シャロン(ベルモット)side END
*
そうして私がニューヨーク市内を仕事で転々とし、新一達が三人で行ったミュージカルで色んな事件があったであろう翌日。私は新一からの電話で、事と次第を聞いてその顛末にとっても驚いた。何せ原作の流れとまったく違っていたのだ
まさかミュージカルが直前に中止になって、その原因が女優・ローズのミカエル演じる俳優・ヒースに対する暴走だったとは……。まぁ要するに纏めてみると、ローズさんはヒースさんが演じるミカエルに異常な愛を持っていて、彼が今回で降板してしまうのが我慢ならなかったらしい。けれどヒースさんの殺害計画までも立てかけた時、私が社会現象を起こした曲を聴いて諦める(殺害)よりも降板阻止、或いは中止の嫌がらせの方を試みた