(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第22章 NY事件
どうやら黄金の林檎も女性宛にじゃなく、ヒースさん宛だったようで。林檎の件は不気味だからてっきり延期になるかと思えば、そんな事もなく、「本当に降板するのか」と問えばYESと返されるばかり……
そんな絶望感の中でミュージカル当日を迎え、直前になってローズさんは愛故に発狂した。もしも開宴してしまえばヒースさんが降板する、即ち自分が愛するミカエルは死んでしまうのだ……。だから発狂してしまった彼女は、楽屋で色んな人が居るの中でもヒースさんに泣き叫びながらその胸中をぶちまけた
当然、普段の明るい彼女からは想像出来ない心の闇、狂ってしまって病んだ愛情に他の女優やスタッフ達は愕然だ。なのでミュージカルは全員のメンタルを考え、中止にせざるをえなかったらしい。後から事情を聞きに行った新一達も、さすがに彼女の言い分や行動力には絶句した
しかもローズさんのドロドロとした狂気的な愛情を受け、ヒースさんは「ならばミカエルとしての僕と、ミカエルを愛する君で、共に死ぬのはどうだろう?」と提案したそうだ。もちろんそれを聞いた新一達は文字通りのまま自決を想像し、「そんなの駄目だ!」とすぐに引き留めた。けれど、彼の告げた死とは比喩表現だったのだ……
結局、数日後にはヒースさんが俳優を引退する事になり、執着心が凄かったローズさんは彼と色々話した末に降板する事を納得。そして彼女は脅迫罪で逮捕され、女優の仕事も辞めたらしい。しかし、何とか解決されたけれども思うことは色々ある……。彼女のそういう身勝手な感情は純愛じゃないし、ヒースさんは悪くないのに罪を背負う必要なんて無かったのだ
……とは言え、恐らくヒースさんはミカエル役を誇りを持って全うしてきて、今回ローズさんを歪ませたのだと知って罪悪感を抱えているのだろう。そしてローズさんも拗れて病むほど大きな想いを抑え、理性の限界が来て今日で爆発してしまった。原作なんて彼を殺していたし、「ミカエルを殺したのは彼自身よ」と言ったのだ。つまりは可愛さ余って何とやら、愛と憎しみは紙一重って事だと思う……
だからお互い言葉を交わして妥協し合えた以上、それがどんな形でも本人達にとって正しい選択だ……そうやって外野の私達は信じ、彼らが幸せになれる事を願うしかない……
こうして、どうやらNY事件は未遂で幕を閉じたそうだ───
