第22章 ＮＹ事件

ゴールデンアップルはギリシャ神話が元だと、アメリカに来る以前に椎奈姉さんから教えてもらっていた


ゼウスが開いた宴会に出た女神エリスが黄金のリンゴを投げ入れる。黄金のリンゴは「最も美しい女神へ」と書かれており、その場にいたとされる女神のヘラ、アテナ、アフロディーテが自分こそ相応わしいと名乗り出た。するとゼウスは人類で最も美しい男、トロイアのバレスが間もなく行われる雄牛の審査会で審判をすることに気付き、雄牛に姿を変えたアレスを遣わせる。彼はゼウスに命じられたこのこっけいな義務を受け入れた


因みに神たるアレスはどこから見ても完璧であり、結果、金の月桂冠を勝ち取る。ゼウスはパリスが公正公平な審判をすると知っており、パリスに判断させようと考えていたそうだ


彼は林檎をヘルメスに持たせてパリスにそれを届け、女神たちが彼の判断を議論抜きに受け入れることを伝えよと命じた。女神たちはパリスのもとに現れ、それぞれ林檎を得るための賄賂としてパリスに贈り物を約束する


ヘラは「アシアの君主の座」を、アテナは「戦いにおける勝利」を、そして最後のアフロディーテは「この世で最も美しい女」、すなわちトロイアのヘレネーを妻に与えようと約束した。そうして、パリスはアプロディーテーを選んだとされる。これがトライア戦争に繋がるらしい


パリスが兄弟と共に、ヘレネーとメネラーオスの結婚を祝うために出かけた。彼らはそこで夜を迎え、メネラーオスはアガメムノーンに呼び出されると、ヘレネーとパリスだけが残された。このとき二人は愛を交わし、ヘレネーはメネラーオスを捨ててパリスとともにトロイアへ向かった


そしてこれから後に、トロイア戦争が始まるという物語だと聞いている───










今回、私達が招待されたミュージカルでは舞台俳優であるヒース・フロックハートがバレスに代わる主人公・ミカエルを務め、四人の女神を女優のリラ・サンチェス（ヘラ役）、アカネ・ニールセン（アテナ役）、イベリス・ハミントン（エリス役）、ローズ・ヒューイット（アフロディーテ役）が演じる


それらをシャロンさんから教わりながら楽屋へお邪魔すると、やっぱり芸能人だからか役者さんは全員綺麗な人たちばっかりで。するとイベリスさん以外の女優は、かつて有名な女優だった有希子さんが来てくれた事に興奮し、英語で色々話していた