• テキストサイズ

(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)

第20章 工藤家の別居と、彼らの深淵



優作「新一。実際に起こった事件というのはね、犯人の動機とトリックの証拠があるだけじゃないんだよ。そこには犯人の殺意がある、単純な悪意だけじゃなくて嫉妬や拗れや逆恨み、その手段しか選べなかった環境と経緯、他人には分からない闇がある……。遺族や知人の喪失感も、当事者達の恐怖や同情もある。故に容疑者の関係者達も、一生をそんな過去を背負って生きるだろう。悪いのは当人だけだというのに、身近な者を糾弾する者も少なくない。被害者を亡くした誰かが耐えかね、絶望のまま文字通り全てを捨てて闇に堕ちるだろう。推理と逮捕で満足感と快感を得られるなんて、探偵や警察以外で殆どいない」


新一「なっ……?!」


優作「それに第一、探偵という職は公務じゃないからね。協力させて貰っている、信頼を寄せてもらっている。本当の意味で危険な難事件に関わらせない、此方もまた護られる立場で秘匿義務もあるのだよ。椎奈が言いたかったのはそういう事なんだろう?」


椎奈「ええ。実際の現場は酷く複雑なものなのよ、法律が決めた正義も決して万能で平等じゃない。理屈と感情論は時に衝突し、善と悪は見方を変えれば逆転する。新一はそこを十分理解してる?」




事件を推理するなとは言わない、好奇心や興味も不評を買わない程度ならいい。だけど事件を快感にするのは良くない、それでも探偵になりたいのならいいと思う。止めはしないけどホームズのような理想の体現、欲求だけで歩んでいくには過酷な道だと思うわよ


家族が語った真剣な言葉は世間の闇と探偵の重圧、俺が何一つ理解していなかった現実を容赦なく突きつけた。俺は蘭が幽霊や妖怪を怖がる度に、園子と蘭が御伽噺に憧れるのを見る度、「そんなん実際あるわけねぇだろ」なんて格好つけてきた。自分を現実主義で分からない事なんて無いと思ってたけど……




椎奈「……これを聞いて新一、貴方はどういう人間になりたい?」




そう問われても、答えられる言葉と余裕が無かった。何も考えられないほどに絶句した。俺はまだまだ何も分かっていなかったんだろう、世間知らずで甘かったんだと自覚した

───新一side END










両親も私も新一に対し、厳しい現実を並べて教えるのは非常に辛かった。しかし彼が過ちを犯してからでは遅い、後悔しながら悲しむなんて避けたかった
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp