(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第20章 工藤家の別居と、彼らの深淵
女性陣が緩ませた空気が再び緊張感を持つ。親父が今更心変わりしないのを分かって俺に問うた目つきは、今後後悔しないかと覚悟を見極めようとしていた。すっと細められた瞳に自然と背筋を伸ばし、絶対どんな難事件も暴いてやると豪語した。絶対にやってやる、そんな思いで親父を睨み返すように見ると意志が揺るがない俺に大きく頷いた
優作「お前がそこまで言うなら進学した後、探偵としてメディアに出られる手続きをしよう。椎奈も新一が探偵になるのを認めてあげてくれ」
椎奈「え?認めるも何も探偵になる事自体に反対は無いわ。確かにこの子に秀でた素質があるし、活躍してしてほしいと思ってる。だけど自分で責任を取れる大人になってからの方が良いだろうし、探偵の作法と精神的な慎重さだって大事でしょ?いくら巧妙な事件を解決できても、謎解き一直線で周囲を気遣えないのはまずいわ」
新一「えっ……」
探偵になる事自体を否定されず安堵したのも束の間、複雑そうに苦笑いで駄目出しされたのは予想外だった。これまで姉さんが具体的に意見をしてきたのは初めてだ。昔は俺が「探偵になる」と言えば、一緒に勉強してくれたりミステリー小説で演劇なんかもしてくれた。前向きに「頑張れ」と応援してくれていて、小学生の高学年になって目標が決まると、「高校生でなるだなんて早すぎる」と咎めるようになったのだ
その理由が今の発言だったのだろう、姉さんはずっと「大切なことが欠けている」と言っていた。現場に駆けつけるのは事件に興味があるのと、探偵としてあるべき姿と思ったから。姉さんはそれを非常に危険だと思っていて、そんな姉さんの意見に両親もまた確かにと頷いた。一体どうしてなんだ、本能のままでいて何故悪い。俺は事件を推理できれば満足なのだし、まずは其方を優先するのが重要で事情聴取の会話以外義務は無いはずだ。それに今はメディアに出る為の許可をもらって、公安委員会の資格が欲しいのだが……
有希子「うーん、そうよね……その場に犯人がいて、生きてた人が突然死んで、恐くない一般人は殆どいないわ。容疑者が逮捕されたって、事件に遭ったショックは心に残るもの。そんな彼らにしっかり向き合う事も探偵にとって大事だし、誰だって平穏なままで過ごしたいわ」
新一「……犯人を突き止めるだけじゃ駄目なのかよ?」
