(名探偵コナン】生まれ変わったら名探偵の姉でした(改)
第3章 小波の魔法使い
友達になってあげてくれと言われ、新一も蘭ちゃんも戸惑っていたので、私が真純ちゃんに「よろしくね」と笑顔で手を差し出した時だ……
浜辺に沿って傾斜になっている車道の高い場所で、ガードレールを突き破った車が海に墜落してしまう事故が発生したのだ。その場の全員が騒然となっている中、赤井さんが一人海に飛び込んで行った
思えばこれまで、身近に事件が起こってしまったのは初めての事だった。私は生憎推理好きじゃないので事件を報道しているニュースを見る度、「怖いなぁ」「物騒だなぁ」と平穏な生活ぶりに安心している。だから犯行の動機もトリックも出来れば知りたくないし、こうして今、目の前で事件が起きて漸く自覚したのだ
……そう、ここは事件が多発しまくる危険な都市、探偵達や警察が多忙を極める名探偵コナンの世界なんだと。ループしている時間軸で残酷にも多くの人間が命を失っていく恐ろしい世界なんだと
それを今更この場で思い知らされた私は、なんて臆病で情けない人間なんだろう。実際に巻き込まれてしまえば頭が真っ白になり、目の前で死の瞬間を見るのは恐怖でしかない。自主的に手伝いに動いた新一達より年上なのに、私は赤井さんの捜査に協力出来なかったのだ
有希子「大丈夫よ椎奈ちゃん、きっとすぐに解決するわ」
椎奈「……うん」
浜辺が事件で騒ぎになって、母さんと連絡が取れた私はすぐに合流できた。ただし新一は赤井さんの指示で海の家にずぶ濡れの客がTシャツを買いに来たか聞き込みに向かい、蘭ちゃんも真純ちゃんもそれぞれ別の指示を受けて別行動を取っていた
どうやら海に飛び込んだ赤井さんによると、沈む車の運転席から男を救出しようとしたのだが、男は首が折れて即死の状態だった。後部座席にあったバッグは値札が付いた、大量のブランド品の腕時計が入っていたらしい。腕時計は全て10時10分を指していた。助手席のサイドウィンドウは開いていたので、同乗者がいたと推測したのだそうだ。そこで海から上がった彼は、海水浴客に紛れ込んだ可能性が高い同乗者を捜している───
その後、店員の聞き込みから帰ってきた新一によれば、二、三人の客がTシャツを買いに来たらしい。当時海の家にいた秀吉がその客3人の顔を覚えていた