第11章 僕の誕生日(20歳)①*
side.五条悟
「ただいまー」
「おかえりなさい」
僕が帰ると名前が嬉しそうに、パタパタと寄ってくる。
そしてギュッと抱きつかれた。
「どうしたの?」
僕が尋ねると、名前は一度離れて。
ごそごそと後ろ手に何かを隠す。
「えっとね…あのね…」
何かを言おうとしているのは分かるけどね。
頬を赤らめてモジモジする姿が可愛いから。
早く要件を言って欲しいんだ。
じゃないと抱きあげちゃうよ?
「ちょっと早いんだけど、悟さんにお誕生日プレゼント」
「へっ?」
名前に封筒を手渡される。
「ありがとう。何かな?開けてもいい?」
「うん」
中を開けてみると、名刺のような物が数枚入っていた。
そこには“出張のお供”と書いてある。
何これ。
めちゃくちゃ可愛いんだけど。
「僕の出張に付き合ってくれるの?」
「うん。今日、学長に相談してね。ちゃんと働くなら良いよって言われたの」
名前。
めちゃくちゃ嬉しいそうにしてるけど。
それ僕の首絞めてるよ?
でも僕はそれに気づかないフリをして。
ギュッと名前を抱きしめた。
「ありがとう。すごく嬉しいよ」
「これで悟さんの側にいられるの」
「そうだね」
ふにゃりと笑う君が愛おしい。
もう。
何でも許せちゃうよ。