第10章 妻の初任務*
side.名前
色々なジュエリーを見ていると、目が回りそうになる金額の物が多い。
あと私にはまだ早そうな物ばかり。
隣の店舗に行ってみると、ピンクゴールドのタンザナイトを見つけた。
可愛い。
でもちょっと高い。
「ん?これが欲しいの?」
「えっと…でも…」
とても買ってと言えるお値段ではない。
「えっ?うーん…可愛いし。名前に似合いそうだけど。桁1個少なくない?」
「えっ?」
これが安いの?
ビックリして見上げると、悟さんはへらりと笑う。
「それがいいの?」
「…うん…」
正直にコクリと頷く。
「すみません。これ見せて下さい」
「ご試着はされますか?」
「はい」
店員さんがショーケースからタンザナイトのネックレスを取り出してくれる。
「…本当にいいの?」
「僕が君に送りたいんだからいいんだよ」
悟さんは私の首にネックレスをつけてくれた。
鏡で見てみる。
「可愛い…」
「じゃあこれにしようか?」
「うん」
嬉しい。
悟さんはお会計を済ませている間。
私は胸に輝くタンザナイトを見ていた。