第10章 妻の初任務*
side.名前
新幹線に乗って、県外まで来てしまった。
「悟さん?」
「うん?」
「今日の任務ってお泊まりなの?」
「そう。前に言ったでしょ?」
てっきり呪霊を討伐に行く事に、渋っているのかと思ったけど。
一人で出張に来るのが嫌だったのか。
暫くタクシーに乗って、着いたのは廃病院だった。
なんかおどろおどろしい雰囲気。
ブルッと鳥肌が立つ。
「名前。いいかい?指をこうして」
悟さんに指で変なポーズを取らされる。
「先ずは帳を下ろすんだ」
「帳?」
「うん。一般人が外から呪いを視えないようにする結界のようなものだよ。そしたら、これを読んで」
渡されたメモを読む。
「闇より出でて…闇より黒く…その穢れを禊ぎ…祓え」
言葉にすると黒いドームの様なものが下りてきた。
「うわぁ…」
「これが帳。良くできたね」
悟さんにいい子いい子される。
「さて。ここからは僕の出番だね。10秒したら戻って来るから待っててね♥」
「えっ?」
悟さんは私にキスをすると、シュッとどこかへ消えてしまった。
瞬間移動?