第10章 妻の初任務*
side.名前
今日は先輩達に同行して、
初めて呪霊討伐の任務遂行する。
と言っても、祓うのは私ではなく先輩たちだ。
しかし出発前の早朝から、
悟さんと歌姫先生が言い争っていて、
完全に私達は出だしをくじかれていた。
「だめっ!名前は行かせないっ!」
「大丈夫よ。私も引率するし、七海も伊地知もいるんだから」
「嫌だっ!僕が引率するっ!名前ー!」
えぇ…
どうしよう…
隣にいる呆れ顔の先輩方。
ご迷惑をお掛けして、
誠に申し訳ございません。
「では五条さんの任務に名前さんが同行すれば良いのでは?」
「だめよっ!危険に決まってるでしょ!」
七海先輩の提案を、バッサリと切り捨てる歌姫先生。
えっ?
悟さんの任務って危険なの?
隣にいる伊地知先輩に、コソッと聞いてみる。
「伊地知先輩」
「何ですか?」
「悟さんの任務って、危険なんですか?」
「基本的に五条さんの近くにいれば巻き込まれる心配はありませんよ」
「えっ…」
それってどういう事?
台風の目みたいな?
いまいちピンとこない。
とりあえず、この場をどうにかしなくては。
私は言い争っている歌姫先生と悟さんの間に割って入る。
「歌姫先生。悟さんに報告書も書かせますし。危ないと思ったら全力で逃げますので、同行しても良いでしょうか?」
私が悟さんと一緒に行きますから…
七海先輩も伊地知先輩も、
そんな目で私を見ないで下さい。
「はぁっ…分かったわよ。但し今回だけよ?五条。あんたが学長に言いなさいよね」
「はーい!」
多分、悟さんは言わないだろうから、
私が学長にメールを打っておこう。