第6章 妻のヤキモチ
side.五条悟
君が何に苦しんでいるのか。
「…悟さんが…いなくなったら…私…また一人なの…」
「そんなこと考えてたの?」
彼女はコクリと頷く。
「名前。そんな悲しいこと考えないで?」
「………」
肩を震わせて泣く名前。
「そんな風に声を殺して泣かないで?」
「ふあっ…ううっ…悟さんっ…ひっく…」
「それでいいよ」
一つ一つ君の心を僕に見せて?
嗚咽を上げて泣く彼女の背を摩る。
「僕が君以外を好きになるわけないでしょ?」
「ひっく…そんなのっ…ううっ…わかんないっ…」
バカだなぁ。
そんなことあるわけないのに。
「名前はいい子過ぎるよ。もっと欲張っていいんだよ」
「…欲張るって…ひっく…どんな風に?」
漸く落ち着いてきたね。
君は母親が亡くなってから。
声を殺して泣くようになったのかな?
一晩中、僕に縋って泣き続けてもいいのに。
「僕なんて名前といる時間が欲しくて。仕事なんて放って帰ってきちゃってるよ」
「えっ?」
漸く泣き止んだね。
名前はキョトンとした顔で僕を見る。