第31章 可愛い妻の誘拐
side.名前
今日会ったばかりの冥さんが、
そこまで私のことを考えて下さるのは嬉しかった。
「ありがとうございます…でも私は…」
きっと悟さんに出会う前なら、
喜んで冥さんの妹になったと思う。
ずっとお姉様が欲しいと思っていたから。
でも…
もう悟さんのいない日々には戻れない。
「やっぱり五条くんには敵わないか」
「ごめんなさい」
「名前が幸せならいいよ」
悟さんが一日いないだけで、
眠れないほど恋しいの。
もし別れたら、きっと呼吸すらままならない。
「仕方がないね。じゃあ可愛い名前の悩みだけでも聞こうか?」
「えっ?」
「名前は呪術の事で悩んでるんだろう?」
冥さんは私のことをどこまでご存じなんだろう?
冥さんが鋭いのか。
私が分かりやすいのか。
もう少し…
ううん。
もっと気を引き締めないとダメだと思った。
これじゃあ本当に誘拐されてしまう。
(↑現在進行形で誘拐されている)