第31章 可愛い妻の誘拐
side.名前
突然できるようになった五行説。
勉強したから知識はあるし、
できる気もする。
でも…
もし人を傷つけてしまったら…
そう考えると、
私一人では今の力を怖くて使えない。
要するに私は悟さんに甘えるだけの臆病者だ。
自分一人じゃ何もできない。
でも一方では、一人で何でもできて、自立てみたい。
自信をつけて彼の隣に立ちたいという欲まである。
この矛盾した気持ちを冥さんにポツリポツリと話した。
私の意を聞いた冥さんは高笑いをする。
「ハハッ!名前は本当に可愛いね」
「えっ?」
そんな要素あった?
思わず首を傾げた。
「そうだね。今の話を聞いたら、五条くんには申し訳ないけど、私は名前を応援したくなったよ」
「えっ?」
冥さんの言葉の意味が分からない。
何故、悟さんに申し訳ないと思うんだろう?
「さて。お茶も終わったし、そろそろ御父上のところへ向かおうか」
「はい」
前回は中途半端な処置しかできなかった。
でも今回は大丈夫。
いっぱい練習したし、
お姉様がついていてくれるんだもの。