第29章 お仕置き*
side.名前
「……んっ…」
目覚めると、辺りはすっかり暗くなっていて、
もう夜なんだと気づく。
あ、そっか…。
私、お仕置の最中に気を失ったんだ。
思い返しながら、
自分の身体を包む温もりに目を向ける。
悟さんも寝ちゃってる。
私の胸の中でスヤスヤと眠る姿を見て、
複雑な気持ちになる。
まだ怒ってるのかな?
それとも機嫌直ってるかな?
起こしたいけと、まだ怒っていたら…と思うと怖い。
こういう時ってどうしたらいいんだろう?
私は臆病な自分を変えたかった。
悟さんの隣に自信を持って並びたかった。
こんなに裏目に出ちゃうなんて。
「…はぁ…」
「…ん…あれ?…名前、起きたの?」
思わず出た溜息で、
悟さんを起こしてしまった。
「あっ…起こして…ごめんなさい」
「ううん。大丈夫。ちょっと寝てただけだから」
悟さんの声音がいつもみたいに優しい。
もう怒ってないの?
「悟さん」
「うん?」
眠そうな目を擦りながら、上目遣いで私を見る悟さん。
その瞳に見つめられると、
未だにドキッとしてしまう。
「…あの…今日は…危ない事してごめんなさい」
「ああ…んー…その事だけどさ…」
悟さんが目を伏せて、
言い淀んでいる。
いつもはもっときっぱり言うから、
そういう態度をとられると不安になってしまう。