第28章 妻の開花
side.名前
病室に入ると、ゾクッという悪寒のような感じがした。
「えっ?」
「うん。やっぱりいたね」
驚く私とは対象に、悟さんは冷静で、
いつの間にかその大きな背に隠されていた。
今のは…
「…呪霊?」
「そうだね」
「…何で…」
何で私のお父様に呪霊がついているの?
そのせいで体調を崩したの?
私から…
お父様まで私から奪うの?
抱いてはいけない気持ち。
それがお腹の中に溜まっていく感じがする。
マイナス。
怒り。
そんな負の感情が大きくなる。
同時に、あの意味の分からなかった五行説。
その内容がストンと腑に落ちた。
何だろう?
分かったかも。
「僕が祓っちゃうから、名前は治してあげな?」
「…ううん。大丈夫」
「えっ?」
私に驚きの目を向ける悟さん。
「…私が…祓う」
「………」
悟さんの無言の圧が凄い。
きっと怒ってる。
でも私はお父様についた呪霊を祓いたいの。
後でどんなお仕置も甘んじて受けるから。
今は私の好きにさせて?