第28章 妻の開花
side.五条悟
今日、僕の所に名前の父親が倒れたと連絡があった。
先日、会った時の態度を見る限り、名前を関わらせたくない。
正直、僕の妻を傷つける人なんて。
どうにでもなってしまえばいいとさえ思っている。
「はあ…」
名前を抱きしめながら、どう話を切り出そうか悩んでしまう。
僕が溜息を吐くと、名前は僕の頭を撫でながらクスッと笑った。
「何?僕、おかしいことした?」
「ごめんなさい。ただ…ちょっと嬉しくて…」
「僕が甘えると嬉しいの?」
「うん。嬉しい…かな」
「そっか」
こんな些細な事で笑ってくれるなら、話しても大丈夫かな?
僕の頭を撫でる君の手を握って、名前に向き直る。
「名前」
「うん?」
「明日…病院に行こう」
「えっ?」
案の定、名前は驚いている。
「今日僕のところに連絡が来たんだ。名前のお父さんが倒れて、入院してるって」
「………そう…ですか…」
名前は真っ青な顔をして、僕の手をギュッと握った。