第28章 妻の開花
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一頻り本を読んでも、結局理解は出来なかった。
ここは悟さんに頼るべきなのかな?
そんな事を考えているとドアが開く音がして、悟さんが帰って来たのが分かった。
「おかえりなさい」
「うん。ただいま」
いつも聞いている声のトーンじゃない。
悟さんの異変に直ぐ気づく。
何?
私が勉強しているのがいけなかった?
不安で堪らなくなる。
「悟さん。私…何か悪いことした?」
「えっ?」
叱られるのを覚悟で聞いてみると、怒っている様子ではなかった。
「ごめん。ちょっと考え事しててさ。不安にさせたね」
そう言って、私をキュッと抱きしめてくれる。
「ううん。大丈夫」
やっぱり悟さんの腕の中が1番落ち着く。
「ごめん。ちょっと充電させて」
「…いいよ」
何時になく元気のない悟さんは、私を抱きしめて離さない。
でも、力になれるのなら嬉しい。
だって私の元気の源はいつだって悟さんだから。
悟さんもそう思ってくれてるなら、私は幸せなの。