第24章 僕の誕生日(21歳)①*
side.名前
「あげる…私の時間。全部」
「じゃあ、1時間あったらどうしたくなると思う?」
「…えっと…エッチ?」
「不正解。名前を見つめていたいんだよ」
悟さんは優しく笑うと。
貪るようなキスをしてくる。
“ちゅッ♡ちゅうッ♡くちゅッ♡ちゅッ♡”
「んっ…んんっ…はぁっ…んんっ…」
「はぁっ…名前っ…このまま…」
悟さんが何かを言いかけた瞬間。
ビーッ!ビーッ!とお料理のタイマーが鳴った。
“ちゅうッ♡くちゅッ♡くちゅッ♡ちゅばッ♡”
「んんっ…はぁっ…悟さっ…んんっ…」
「はぁっ…お預けか…」
ガクリと項垂れる悟さんを見て。
クスッと笑みが溢れてしまう。
「悟さん」
「うん?」
「私…アルバイトはしたいけど…できない」
「うん」
時間の大切さを教えて貰ったから。
「それ代わり…私にして欲しい事…教えて欲しい…」
「それなら沢山あるよ♥リストアップするから待ってね♥」
「えっ?あ、うん」
悟さんが急いで机に向かうのを見て思う。
私たちはいずれ死ぬ。
死に際を意識した時に。
「こうしておけば良かった」
「ああしておけば良かった」
そう後悔しないように。
悟さんとの時間を大切にしていきたい。