第24章 僕の誕生日(21歳)①*
side.名前
「アルバイト…だって?」
「えっ?…う、うん」
「アルバイトなんて僕が許すとでも思った?」
「へっ?」
悟さんの声がワントーン低くなる。
アルバイトって、そんなに悪いことなの?
「僕は1年。365日。24時間。片時も君から離れたくないんだよ。名前は違うの?」
「違わないけど…」
「じゃあ、何でアルバイトなんてしようとするのさ。僕との時間をこれ以上減らす気?」
「だって…」
悟さんに怒られて、しょんぼりとしてしまう。
「どうせ僕にプレゼント買いたいと思ってたんでしょ?」
「…うん…」
「名前。僕はね、君との時間が何より大事なんだ」
悟さんの碧い瞳に、じっと見つめられて。
心臓がドキッと高鳴った。
「1秒あれば、キスしておきたい」
ポッと顔が赤くなるのが分かる。
そんな私に、悟さんはチュッとキスをした。
「1分あれば、抱きしめておきたい。名前は違うの?」
「…違わない…」
「それなら名前の時間を僕に頂戴?」
悟さんは狡い。
そんな言い方されたら、悟さんといる1分1秒がとても大事に思えてきて。
アルバイトをしようなんて気が起こらなくなる。