第22章 妻の過去
side.五条悟
「おかえりなさい。悟さん」
あー。
可愛い。
僕は玄関までお出迎えしてくれた名前を抱き上げて。
母のいる応接間に向かった。
「ただいま、母さん。ありがとうね」
「いいのよ。名前ちゃんと水入らず。お出掛けできるなんて嬉しいくて。ついつい連れ回しちゃった♥」
「そっか」
母さんと僕は似た者親子かもしれない。
母も名前を溺愛している。
「悟さんに沢山お土産あるんだよ」
うん。
やっぱり君は。
こうして笑っているべきなんだ。
「ありがとう♥母とのお出掛けはどうだった?」
「すごく楽しかった」
「名前ちゃん、名前ちゃん。あれ。着てきたら?」
「えっ?でも…」
名前は何か後ろめたい事があるのか。
モジモジしている。
「何?気になるなぁ。僕のために着てきてよ」
「でも…あんな高価な物…」
相変わらずの貧乏性だね。
君は。
「どうせ母さんが無理矢理買ったんでしょ?いいじゃん。見せてよ」
「失礼ねぇ。名前ちゃんのためにあるような物だから買ったのよ。ねー♥」
「でも…」
一向に動こうとしない名前を見兼ねた母は。
女中に頼み、彼女を別室へ連れていかせた。