第22章 妻の過去
side.五条悟
「昔の事…話せるよ…」
「ほんとに?無理してない?」
「うん。でもギュッてしててくれる?」
僕は名前を抱きしめて。
唇や頬にたくさんのキスをした。
これで君の不安が和らぐなら…
すると名前はポツリポツリと。
小さい頃の話をする。
「私の家族はね…凄く厳しかったの…」
「…うん…」
「家に帰るのが…いつも怖かった…」
「…そっか…」
僕は相槌を打ちながら。
名前にの肩に口付けをした。
「どんなに勉強頑張っても…頭を撫でられた事もない」
「………」
「それでもテストで悪い点を取ったら怒られるの…」
「名前。ごめん。もう話さなくていいよ」
君が今まで辛かったのは話し方で分かったよ。
「…話さなくていいの?」
「うん。もういい」
これ以上、悲しい思いをしなくていい。
今までの分。
この先は幸せになるべきだ。
「僕は名前がどんなに悪い事しても、君が好きだよ」
「………」
「だから僕に思いっきり甘えて?」
「…でも…もう充分甘えてるよ?」
君の今までの事を考えたら、全然足りないよ。
逃げ場がないくらい、僕に溺れて欲しいんだ。